[カクヨム]同じ、語るといえど

 あの本、そういや立ち読みしてから読んでなかったな。そう思い、好きな作家さんの本を、迷わず購入する。

 そういえばweb小説のコーナーなんてものもあるんだっけか。一つの頂点を得た物語たち。少しだけ眺めてみるものの、目を惹かれないレインボーポップから、こだわって作ったのだろう表紙まである。

 結局、目的のものだけを持ってレジへ。用事を済ませて帰宅する。

 さて、自宅でのやることを終えて、件の本を開いて読んでみれば、私とは違う景色が、薄く薄く広がっており、人々は描かれていることなど知らず動き始めるのだ。

 この感じが好きなんだよなぁ。

 すっかり読む時間も減ってしまったが、こういう供給の時間も、また必要なのだろう。


◆◆◆◆


 カクヨム様に限らず、小説投稿サイト全般のお話でのですが、今回はweb小説の書籍化において、その二つは同じ体験ができるのか、ということについて書いてみましょう。

 web発の書籍というのは、アマチュアさんたちが作品として投稿し、その中から人気の作品、あるいは編集さんか誰かの目に留まり、紙に印字して、挿絵を入れて、売り出されたものです(偏見含)。

 多くのカク人たちの夢ではないでしょうか?

 もちろん、私もその一人です。あわよくば、これが面白いよと紹介されて、それ書いたの私だよ、と宣言したいくらいには。


 以前も「内包できる文字数の限界に差がある」ことがレビューで触れられていた、というお話をしたと思います。

 では、書籍とweb、媒体が違うゆえの軋轢が他にもある、というお話をしようかと。もっとも、上記レビュー動画を投稿している方から、そういう傾向があると知ったクチですが。


 まずは限界文字数。紙は有限で一冊単位、webは無限で区切った単位です。

 同じ文字が並んでいたとしても、この地点で異なる体験になることでしょう。計画なしに無限に続く物語を有限の紙に落とし込むと中途半端なところで終わってしまうことは目に見えてしまうのではないでしょうか?

 次に1ページに現れる情報量。紙は1ページあたり均一、webは一話です。

 いくらでも書けるのがメリットであると同時に、長くなるとぐだりやすくもなります。web向けの書き方で情報を減らすことで、読みやすくしているのだと思われます。このweb向けの書き方がそのまま書籍となるとすかすかなように見えてしまうのでしょうね。

 あとは……書き方ですか。上記のように、一種の書き方があるようです。教科書で見たようなツメツメのものか、「」の前後に改行を入れるだとか。

 書籍とwebだとこれがまた噛み合わない。もともとは原稿用紙ベースで考えられてきたために、改行が多すぎると、その分原稿用紙を消費してしまいます。そのため、webでは文字数という形で小説の規模を表示するようになっていますが、ここの10万文字を書籍に移しても空白が増えるばかりになって、すかすかに。


 同じ体験、できるのかなぁ。一つ目の理由で強制的に区切られてしまうので、体験が変わってきそうだなぁ、と。

 ここまでくると、そのまま書籍化するのにメリットってないような気が。編集さんの目を通したとしても、書籍向けに体裁を整えれぱどうにか、かもしれません。

 それはそれで見てみたいかも。


 私は書籍向けの書き方をしておりますが、本になったらどうなるのでしょうか。そんな妄想をしながら、水曜日を渡りましょうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る