[創作論]中抜けの台本

 始まりは二人だった。

 二人は廃墟から逃げ出して、世界を歩き始めた。

 唯一の生き残り。唯一の家族。

 ただ一つの目的のために彼らは、ひたすら旅をすることを選んだ。

 道が途絶えていることも気づかずに。


 やがて二人が現れた。

 二人は切り抜かれた世界から抜け出し、安寧の地を求めて歩き出す。

 あれやこれや。

 それやどれや。

 情報を集めながら、きっと迫ってきている者たちから遠ざかる。

 彼を生き長らえさせながら、自身の命を繋ぎながら、きっとあるだろう地を目指して歩く。

 道は闇に包まれていようとも。


 そして彼らは二人でいることとなった。

 いずれ来るその日を目指す。

 定められた結末を知らず、夜を歩く。


◆◆◆◆


 「魔王討伐」。これから書いていくこととなる作品ですが、もともとは某旅小説を真似た二人旅のお話でした。

 エタったそこにいろいろと要素を付け足して、七日の前に書きかけていたものになり、さらに王道ファンタジー要素を付け足して方向性が決まりました。


 しかし、中抜けの台本、なんですよね。土台設定は決まっていて、結末に書きたいシーンがある。では土台に積み上げていく積み木はどうしようか、と決めかねています。

 市場は、そもそも短編からスタートしたものです。なので何らかのイベントを用意して、走らせる、用意して、叫ばせる。それを繰り返していたんですよね。テロが起こってからも、各キャラがそれぞれの目的に沿って動いていくので、状況設定や性格付けも自然とできていきます。

 魔王討伐では、思い付いたのはシーンではなく土台が先と言ってもいいです。すなわち、ここにキャラがいない状態なんです。

 もちろん主人公に、こういう目に遭わせたい、というのはあれど、周囲の仲間とかがいない。あぁ、これは難しいぞぉ。

 逆に言えば七日ほど行き当たりばったりにならず、市場ほどキャラ、イベントに依存しない物語を作っていけるということですか。これも書く訓練として、書籍レベルを目指してやっていきましょう。


 さぁ、じっくりと煮込んでいきましょう。

 魔王討伐。ただそれだけのタイトルを。

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