[短編(天地)]我の求むは

 不自然な揺れに、目を覚ます。ドラゴンによる収集ではない、もっと小さな、起きていたら気づかないかもしれない。

 まだ夜じゃないか。腹を空かせた獣が寄ってきたのか、あるいは……。

「おおぅ、起きてしまったか」

 闇の中から降ってくるのは、連れの言葉。

「お前は面白い」

 見えないが、生物特有の、生臭い吐息。

「仮に、私がおまえを収集したい、と言ったらどうする? おまえは応じてくれるか?」

 土を踏みしめた音。

「我らは、おまえたちを愛している。それを残しておきたい、飽きるまで、手元に置いておきたい、と思うのは、ワガママと怒るか?」

 見えなくても、どんな顔をしているのかは分かる。

「もし旅に人生に疲れたなら、いつでも収集してやろう」

 首筋に這わされる、べっとりとしたもの。

「目が覚めたろう? 少し付き合え。収集されたく、なければな?」

 完全な脅しは、歪んだ笑みから漏れていた。


◆◆◆◆


 「穴ぼこだらけの大地で」改め、「天に球を、地に命を」ということで、略称は天地。本雑記などでも触れました。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889374154/episodes/1177354054892046739

なお、まだキャラクター設定はぶれぶれなので承知のほどを。


 さて、このお話、というか短編というものは浮かんでは消え、浮かんでは消えるもののため、結論や教訓があるのか、と言われればないです。

 しかし、楽しいんですよねぇ。逸話を語る。過程を楽しみ、にやにやとする。

 だから「本来はない設定」や「時間軸」を設定しがちですね。好きなシチュエーションを好きなだけ。粉チーズをミートソースパスタに好きなだけかけるみたいに。

 そして読み返して、いただく。公開して、勧めてみる。共感してくれる人がいたら、もうナカーマ的なノリで小躍りしたくなる。口を開けば少し食い違うかもしれないけれど、ちょっとした反応も、ありがとうと言いたい。


 今回の私の愛するシチュは「異種族関係」と「両思いに近いものがあるけれど一方的な力関係」です。あぁたまらんわ。

 異種族は基本としてもなんでこんなに堪らないのか……何か切欠がありましたかねぇ。

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