[短編(オリ)]ConnectMyLife2
※血表現力あり
カンッ。引き上げられる意識に追い討ちをかけるように、ベチャという音も続く。
食べなさい。
無言の圧力。格子の向こう側にいる、いかにもケダモノを見下している高い視線。陰になっていて顔は分からないが、背丈が違うから、また別のアルバイトだろう。
腹は、減っている。だがこんなもの食えたものではない、と頭が拒否している。まだ血抜きもろくにしていないのだろう、何か分からない肉が、新鮮である張りを持って、訴えかけてくる。
爪を立てて押さえつけて。その長い口を開いて、牙を剥いて。そのまま、顎を閉じ、力一杯食らいつけ。
ばかやろう。誰が食うか。腹を下したらどうするんだ。感染症にでもなったら、どうする?
足がむずむずする。立ってしまったら、ダメだ。腹が減っているのだ。唾があふれでて、冷たい床と接する頬をベタベタと濡らす。
どれくらい経っている? あの激痛に打ち克った日から? 万が一にでも殺すわけにはいかないから、と繋がれた点滴のような針。天井からどこかへと繋がっているそれはずっと液体で満たされていて、おそらく、この体を生かし続けている。
そう。生きている。だが、殺されている。死にたくはないが、生かされてもいない。飼い殺しとはまさしくこのことだ。
だが腹は減り続けている。もう忘れてしまえという意思とは無関係に、無邪気に腹を満たしたいと訴えかけてくる。
ミートソースのパスタに、ほんのりと甘いパン。シュワシュワと弾けるスパークリングを、デザートで締め括りたい。
腹が減った。執拗に訴え続けている飢餓は、舌打ちと共に遠ざかる。
生肉が下げられた。格子の向こうは暗くなっていて、バイトが屈んで肉を取り出していた。不衛生であることを証明するように、青い手が無造作に捕まれ、ここから消えた。
うまそう、だなぁ。
立ち上がる人間は、こちらのことなどどうでもいいと言わんばかりに鉄棒の前から消える。足裏を冷たい床につけて、視界が持ち上がる。
◆◆◆◆
テーマは「拒食」。生命の意思は、理力で制することができるのでしょうか?
何気なく行っている食事。これは文明的なものであり素晴らしいものだと、人々は称賛しながら色々なものを調理し、楽しみました。
では、ある日を境にそれを捨てることができるのか? 私は無理ですね。最低限、火は通したいものです。
調理したものを食べたいと思うのが理力ならば、生そのものを食べたいと思うのは生命意思なのか? 色々と書いてみると絶対に面白い。展開するためのネタ不足は否めませんけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます