[短編(オリ)・雑記]400文字詰めワークスペース

 今年の課題図書はこれねー、とプリントが配られた。先生の手から展開されていく紙束は、各個人に行き渡る頃にはなくなる。代わりに、不気味なパンダの百面相が載っている紙が自分の手元に。

 次に先生から僕たちに渡されたのは規則正しい400個の模様の描かれたプリント、もとい紙。1人5枚ねぇ、と遅れて伝えられた言葉に、どこからか溜め息が聞こえた。自分もしたい。

 そう、これは時間泥棒。長期休みの宿題という素晴らしき自由時間を略奪する怪盗だ。しかも、奇妙なことに、教えられていないことを書く宿題もあるのだ。

 すなわち、読書感想文である。

 どうしてこんなものがあるのだろう。毎年、毎年、愚痴ってはいるけれど、なくならない。

 数学はやり方が分かればいいし、国語は答えが載っている。理科も社会も暗記だし、英語も単語さえ分かれば半分は取れるのだ。だけどこればかりはそうはいかない。

 面白いかどうか分からない本を探して、それを読む。結局、面白くなくて、何を思ったか、感じたかをひねり出さないといけない。それも、今回は2000文字。これがまた疲れるのだ。

 主人公は願いを叶えるために魔物を訪問するとか、したっぱの兵士で雑用しかできないけど読み書きができるとか、去年一昨年とそんなおお外れを引いた。

 もっと主人公が冒険して、強くなってほしい。そんな本を紹介してくれる場所とかないだろうか。

 かといって課題図書は辛気くさい。これでもかというくらいワクワクしない。紹介するならもっとマシなの紹介しろよといつも思う。

 早く宿題も試験もない大人になりたいなぁ、って思うけれど、その前に読書感想文なんて滅びればいいと思う。


◆◆◆◆


 その昔、読者の方は読書感想文をどう乗りきりましたか? うまく文字数を調整して空白含めて1800文字以上に調整したことはあるのではないでしょうか?


 さて本題。原稿用紙でのコンテスト応募って、最近では聞きませんよね。10年前は400字詰の原稿用紙を200枚書いてコンテストに送る、というのが主流だったわけです。


 昨今、作品のボリュームを敏感に示す指標として文字数が使われていますが、上記のように原稿用紙であれこれしていた場合、必ず空白による文字数加算が発生するんですよね。

 言い方を変えれば、書籍になると改行によるページ数稼ぎなんて呼ばれたりすることも。そう言った意味ではコンテストの応募条件って厳しくなったということになりますね。ボリュームを無計画に書いても修正変更誤字脱字も簡単になった今では、大した違いではありませんけどね。

 同時に募集する側も、データとして管理できるからメリットしかない。癖の強い文字を見なくて済むし、原稿を山積みにする必要もない。データサーバさえしっかりと保守していれば、修正すべき点も気軽に指摘できるし、審査も楽です(読者審査による一般人気だけの審査もどうかと思いますけどね)。

 紙を用意する必要がない。インターネットに接続するだけで好きに書ける、というのも書く人口が増えている要因でしょうね。おかげでネット文芸なんていうジャンルも確立されてたり。まぁ、昔から掲示板でやる人はやってるんですけどね。


 しかし、溢れた作品から見つけ出してもらうにはどうしたものでしょうか。自主企画にも限界がありますしねぇ。

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