[短編]お菓子は誰にあげるもの?
今日も賑わう市場の大通りにて、そこの飛竜のお嬢さん、と露天の主人が目の前を通る大きな竜に声をかけた。前方に向けていた視線ははたと主人を認め、のしのしと店舗正面を占領する。
なぁに、と背後の通行人に邪魔にならないよう尻尾を足首辺りに近づけて、ずいと店主に近づき鼻を利かせる。
「お嬢さんは、好きなやつとかいるのかい」
突然距離を詰められ、のけ反りつつも店主は尋ねた。
「いるよ。今日は、いないけど」
そうかそうか、とにわかに明るくなる笑みに、飛竜は首をかしげた。
「あるとこの風習でね、女性が好きな相手にこのお菓子を渡しながら告白すると、恋愛成就するって言われてるんだ。買わないかい?」
商品である包みのひとつをつまみ上げ、もう片方の手を沿えて見せて。まじまじと商品を観察した飛竜は、それに対しても鼻を利かせる。
「それって、もう一緒にいても効果あるの?」
保証はできませんが、と笑みを深くする商人。
「それでも、好きな方への贈り物は、どんなものでも喜ばれると、思うよ」
幾らか悩み抜いた飛竜は、人間の手の平にちょこんと乗せることのできるお菓子をひとつ、購入した。
◆◆◆◆
ヴァレンチノ司祭! あなたの死は決して無駄にはしませんぞ! (ネタとして)
というわけでそんな時期になりますね。
具体的に名前を挙げず、お菓子お菓子と言うのは骨がおれますね。調子が単調になりがちです。
ゲームだとチョコレートに関するイベントが開催されていたりしますが、物語中に明言こそしないもののイベントを仕込んでやり取りを構築するのもなかなか面白いわけですが、これがまた難しい。
登場する二人にはそういう意識があるのかないのか、どうやって渡す機会を用意するのか、渡したときにそれを何と称すのか。結局渡せないというパターンもあると考えると、それもまた楽しいですね。
市場では、現状はっきりとしたカップルはギルとシェーシャの二人だけな訳で、他に組み合わせるにしてもテレアとテラー、ヴィークとレノの二人が親愛の意味を込めて交換して、カル様が一方的に渡されるパターンな気がしますね。
紅青の二人はどうでしょうねぇ。自分で食べてしまいそうな気が……。いや、書いてみてもいいですけれども。
さて、チョコレートを食べ過ぎないよう、お気をつけくださいませ。
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