[創作論]ゲンショオブパワー

 人類史、初めて人の前に姿を現した悪魔がいた。

 それは人のように振る舞い、人々を陥れた。

 それは人を騙し、己が持つ力で誘惑した。

 それは人を忌避する者に、変化を与えた。

 混乱をもたらした災厄は、真実を視る人の手によって封印された。

 討伐することは叶わなかった。

 封じるだけが、精一杯の手段であった。

 後世に、滅びの一手が作られると信じて。


「あんたが、その悪魔かいな」

 まだ日の高い時間帯に、ベンチに座る人物は言う。

「悪魔と呼んでくれるのは嬉しいな。そもそも、人を洗脳するくらいの能しかない自分が神格化、いや、魔王格になっていることが驚きだ」

 隣で空を見上げる、ひょろりとした男。

「うちに拾われたってことは、うちを手駒にでもすんの? 今は大人しくしているが、見ているがいいハッハッハー、とか言わんの」

 口だけの小芝居に、悪魔と呼ばれている男は首をふる。

「そもそも、そんな性格じゃないんだよ。この世界に目をつけたのは確かに、自分が最初だ。親の手から逃れやすいだろうここに来て、あれこれしてたら封印されたんだ」

 何してたん、と尋ねられ、

「一家を洗脳して、家族だと思わせて引きこもってみたり、社長の子供だって信じこませて遊んでみたりとか」

 大概なワルやんか、と返されて、悪魔は微笑んだ。


◆◆◆◆


 物語における始祖って、ツヨイ表現されがちですよね。何故なんでしょう。


 例えば、魔法の始祖がいたとしましょう。じゃあ、魔法っていつからあるの? ツヨイとされる基準は? 誇大表現じゃないの?

 単機で一国の軍隊を壊滅させたという勇者の血統の始祖。単機で常に一対一に持ち込めば必ず勝てる者だったのかもしれませんし、魔法を使って一掃したのかも。はたまた、彼は二つの軍隊が衝突したあと、報告に戻った唯一の兵だったのかも、とか。

 想像の余地はあるんですよね。


 なんで、集合知が比較的少ない当時にチート始祖が現れるのでしょうか。復活した場合、現代の戦力では敵わないパターンもありますし…。

 不思議ですよねぇ。始祖さんの知らない攻撃手段とか増えてるのに、それが敵わないなんて。

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