[短編(オリ)]私の描く異世界転生4

ある日目覚めると、体が動かなかった。

こっちに来てから、いや、こちらで生を受けてから16年来、初めての現象だ。

感覚はある。背中には寝相で乱れたシーツ、指先がまだ温かい布団の上にあって、息もどうにかできている。

だが、瞼も、指一本も動かせない。

なんで、どうして。昨日食べたものにマズイものでもあったか? そうなると母ちゃんが? いや、でも理由はないはずだ。ここはなんでもない、一般的な家庭なのだ。

そうなると、誰かに狙われている? 魔物? 悪魔? どうして?

いっこうにまとまらない思考に、扉を開ける音が割り込んだ。

朝よー、とのんびりした物言いは、母ちゃんだ。助けて。助けて!

「はやく起きないと遅刻するわよー? あぁ、起きてるの」

瞼の裏側しか見ていないのに、耳を疑う。どうして起きていると分かる?

「大丈夫よー。潜在魔力に耐えるための体作りの日なのねぇ? お友だちに連絡しておくわねぇ」

体作り? 説明を求めたいが、声も出せない。

痛い。体の内側が、骨が、全身が、痛い。


この世界の生命体は、その生命力、ここでいう魔力に合わせて体を作り替えるという特徴を持つ。

たとえ人間どうしの間に産まれた子供も、その魔力が人間の姿をよしとしない場合、魔物へと成り果てる。

始めは外見の器から始まり、中身、最後に意思を作り替えてしまう。

かつて賢者と呼ばれたかの転生者は、膨大な魔力を、転生先に持ち込むことにした。

さぁ、どんなモノに成り果てるのか、見物でございます。


◆◆◆◆


タイトルは「コトワリのある世界に転生しました」

世界という概念があって、別世界の理が同じものであると、いったい誰が語り始めたのか。


いやー、もっとTF要素詰め込みたかったんですが、時間がありませんでした。

異世界転生先に持ち込んだものが、前の世界と同じものであるとは限らない。もしかすると、記憶が通貨になっていて、それを失う必要があるやもしれません。それはそれで面白そうですね。


さて、異世界といえば魔法。魔法といえば魔力。では魔力とは?

これをフシギパワーとして扱ってきたが、さらなる異世界では生命力に置き換えられ、生命力が外見や精神に影響を及ぼすとしたら…?

この転生者の親も、実は魔物と呼ばれるものだったのかもしれませんね。そう考えると色々なコンビとかカップルとか作り放題で楽しそうなのですが…。


続きを書くとすれば、まずは主人公に絶望を与えねば。あと、そういった知識が欠如している理由も。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る