[短編(オリ)・創作論]あたしゃあんたをかわええ思うてる
突然の告白に、私はぽかんと口を開けざるを得ない。
補習が終わり、眩しくも優しい夕日が教室に差し込んでいる中、私と彼女の二人だけのこの空間に投げ込まれた発言。
「え、どういうこと? その、ええと」
たしかに、かわいいと言われることは嬉しいが、どうしてこうなったのか。担当の教師がどうとか、クラスメイトの噂とか、そんな話だったはずなのに。
「気にせんといて。ただ、あんたには言っときたかっただけやから」
手提げかばん片手に歩き出した彼女を、そのまま見送ることはできたが、独り取り残されるなるのも嫌だったので、追いかける。
廊下に出、先を歩く彼女に追いつき、横に並んで顔をちらりと覗くものの、至って普段の表情だ。
「友達として、ってこと、だよね?他の子とかと比べて、かわいいって…」
なんや、と眉間にしわを作った彼女はにやりと笑い、
「襲いたいくらいかわええってゆうてほしいんか? むしろあんたがオーケーゆうんならそうしたいくらいやけど」
と、見つめ返してきた。
引いた。前から変わった子だなぁ、とは思ってたけれど。数歩先を行く彼女は振り返った。
「冗談や。なんでもかんでも真に受けたらあかんで、まったく」
白い歯が見えるくらいの、いっぱいの笑顔に、帰ろっか、としか言葉をかけることができなかった。
◆◆◆◆
スギタカ以降、主人公が女性ばかりな気がしますねぇ。
今回は話し方での性格付の話。
単なる話し方として特徴をだすなら、一人称、発言の締め方に変化を与えることで性格付をしている方が多いのではないでしょうか。
実際には、もっと複雑でしょうが、一時現れるキャラクタならばそれだけでも十分なことでしょう。
しかし連続してカメラを特定の誰かに当て続ける場合、彼、彼女の性格を発言に乗せなければなりません。
ここで、先の一人称と締め方だけで性格づけをしようとすると、物語として読みづらくなるうえに、何をしたいのか分からなかった、という事態に陥るのではないでしょうか。
私達が生活で口にすることは、何かを感じたからそう発言しているんです。彼らならどう感じて、なんと言うのかを考えながら話を進めていくべきか。
それを彼らの発言に、イキイキと乗せるには、どうしたものでしょうかねぇ。
私は彼らならどう考えるか、をイメージして書くのが基本ですが、あなたはいかがでしょうか。
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