[短編(市場)・創作論]Trick or Your...
店内に、黒猫が入ってきた。直後、茶色の毛皮を持つ四脚類が閉まろうとする扉を押しのけて侵入をする。
「話を通してくるね」
黒猫は振り返って獣に言うと、とてとてと椅子の間を通り抜けて奥の扉へと歩き姿を消す。
それから数分して、黒猫は連れてきた獣を奥へ通した。そこにいたのは、ソファでくつろぐ黒犬だ。来客を見つめて、向かいの席に座るよう促した。
一方の黒猫は黒犬の背中に移動し、丸くなる。
「要件はなんだい。初めて見る顔だけど」
退屈そうな彼女の視界の中で、席につかずに自ベタに座り込んだ獣は、銀の毛並みを持っていた。
先程まで間違いなく、そこらによくいる茶の獣だったが、見る影もない。目を丸くした彼女に、来客はようやく口を開く。
「どうか、助けてほしい。仲間を、わたし達を」
まっすぐな緑がかった銀の瞳に、黒犬は答える。
「変装して静かに暮らすほうが穏便でいいと思うけどねぇ」
黒犬の興味はそこまでだった。
「助けてくれれば、いくらでもあなたの力になろう。このとおりだ」
頭を垂れようとも、黒犬は銀の毛皮をもつ者に返事をすることはない。
「あんたさぁ、助けたとして、同じことを私達もする、なんてことは考えないのかい」
ようやく口にした言葉に、彼は立ち去った。
◆◆◆◆
木を隠すには森の中。なら、目立つ身を隠すにはどうしたらいいでしょうか。
手っ取り早いのが変装。
で、変装って装いを変えて、存在を偽ることですが、単純な服のみの変装ならば立ち振る舞いを変えることも必要になるわけですね。
では、変装の方法に、他の手段はないでしょうか。というわけで、市場では魔法でその身を偽ること、が一部では主流になりそうです。適正の問題はあるでしょうが。
ちょうど、本編の方で変装の記述をしたので考えてみたのですが、掘り下げる余地はありそうです。ただ、「なりきってはいるもののなりきれていない」部分を示すのって難しいですね。
言葉遣いとかにそういったものは現れそうですが、長い時間接していると違和感は出てくるでしょうし、もしかすると本人であって、隠していた本性なのかもしれない、と考えると、また一段と難しい。
さて、どう本編は進めていきましょうか。
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