[短編(市場)]さまーいべんと5

火傷するのではないかと思える大地から、きんと冷たい海水に足を入れると、ぞわりと冷たくなった血が頭部へと駆け上がる。

隣では人間の子供が打ち寄せる波に恐れをなしながら、どうにか足を浸すに至ったところだ。その斜め後ろの安全圏で四脚の狐が大丈夫、怖くはないと諭しているようだが、当の本人は軽く湿った砂の上だ。

ふと気になって右回りに大きく振り返る。ドラゴン二人は日向に平気そうに座っており、その向こう側の木陰では女二人組がくたびれている。

シェーシャも暑さに参っているならば海に浸かり、身体を冷やせばよかろうに。

飲めない水は毒のある水。

そう教えてしまった過去の俺に、馬鹿野郎と呟きながら、水平線へと向き直る。

さて、どうしたものか。このテルという子供の相手をしなければならない。この子は武器などには興味はあるだろうか。

そういえば、兄弟はどこに行った。改めて見回してみれば、彼らは俺の左側で話し込んでいる様子だ。

すると、右手が引っ張られた。どうした、と聞いてやると、少年は両手をこちらに伸ばす。

「うん? こうか?」

彼の脇に手をくぐらせ、持ち上げてみる。足をぶらつかせる子は、勢いをつけてつま先で顎に蹴りをいれてくる。

もちろん、大したものではないが。

「あぁ、ギル、肩に乗せてやり? そこが好きみたいなんや」

テレアの助言に従い、子供に角を掴ませて方に乗せた。すると不安定なくせに、股を首にかけて座り込んだ。まさしく肩車だ。

「おお、似おうとるやん」

クスクスと笑うテレアに、タマモも釣られて笑いだした。


◆◆◆◆


肩車、とリクエストせずに肩車を達成させる…なかなか難易度が高い。(いや喋れよ)

この子は担ぐ側の肩にどうにか乗ろうとするわけですから、意図が伝わらない場合、顎とか蹴りつけてしまうことでしょう。(実際には肩に腰を落ち着けたいだけ)


あれ、そういえばリエード君出してないことに気づきました。来てるのに…

ごめんなさいリエ君…

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