[短編(オリ)・日記]閉行世界

ぼくは、ぼくの生活の区切りがついた。

何が起こっていたかは知らない。親いわく、ぼくは死んでいた、とのことだ。

心臓が止まっていたわけではない。食事をしなかったわけではない。寝て、起きていた。

ただ、生きていた。言葉はそこになく、活力もなく、ただ、生きるために食べ、寝てを繰り返していたという。

実際のところ、気がつくと、腕も足も皮ばかりで、映画館に行けるようになるのも一苦労だった。

数年経っていて、世間が様変わりしていて、とにかく困った。

どうにか、今はやっていけてるけども。

この空白の数年、何があったのか。分からない。覚えてなどいない。

それに、記憶の終わりと比べて今の方が、どこか、笑える気がしている。

喜びも、怒りも、悲しみも、はっきりと感じるようになって、楽しい気がする。

気のせい、だとは思うけれど。


◆◆◆◆


公開していないこの作品、どう扱ったものですかね。

短編というには長いし、中編というには短いと思われる、死んでいた彼の物語。

一度、書き直したものを、もう一度書き直してみようかと思いましたが、それはそれで当時の面影が消えてしまうと思うと惜しいですね。


過去の作品、読み返すのもいいかもしれません。

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