[短編(オリ)・創作論]旅立ちの儀式

もう、ここにはいられない。

いつか、こんな日が来ることは分かっていたが、きゅうと心臓がしぼむ感覚。ここまで依存していたのかと思うと、定住するべきではなかったな、と後悔する。

あとは、この身を持ち出せばいいだけなのに、一歩進むたびに振り返ってしまう。

湯気立つ食事。遊びに来た友人がソファでくつろぐ姿。割ってしまった皿を、ごめんなさいと言いながら片付けるあの子。

そろそろ、荷物が重くなってきた。進もう。

チリンチリンと鳴る玄関を出て、また振り返ると、たった今閉めた扉が回想を拒絶した。

ここまでくると、不思議と足は進み始めた。


◆◆◆◆


旅する系の物語の、始まりのきっかけ。どんなものがあるのか、それはバラエティ富んだものになるかと思います。

故郷の外に達成したい物事がある。故郷から排斥される。自ら故郷を切り捨てるため。ざっと思いつくのはこれらでしょうか。

いずれにしても、これから始まるのだ、という予感をさせてくれると、テンションが上がります。


さて、私が小説を書き始めたとき、某旅ライトノベルがマイブームだったためか、兄弟二人が旅をする、というような内容を書いていたと記憶してるんですよね。もう更新予定はなく、これが派生したものが次に書きたいものになっているわけですが、彼らは夫婦にとってかわられます。

彼らのきっかけはどうだったかといえば、理由もなければ根拠もない、そんな浮いた話だったはずです。

(なんか故郷が滅ぼされて生き残った二人。うち弟は竜化するしー、とかなんとか…)


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