第2章 調査の準備

第12話 調査の準備①

 とりあえず、ハルトは移民船の所に行くことを決めたのだが、移動する為には様々な準備が必要となる。

 しかし、用意をするにも伝手もコネもお金(に相当するもの)すら無いハルトにとって、準備するだけでもとても大変なことだった。

 それを解決してくれたのが、グリフだった。


「ハルト一人を行かせる訳にもいかないから、僕たちも同行するつもりだし、準備も手伝うよ。」

「グリフ。

 本当にありがとう。

 自分の故郷に帰る方法を探すだけだし、一人だけでも行くつもりだったんだけど、正直な話、かなり不安だったんだ。」

 ハルトは、グリフに心情を吐露し、礼を伝えた。


 目的地までの地図も必要だと考えたハルトは、地図の様な物がないかグリフに訊ねてみた。

 すると、いつもの小型端末に地図はあるが、入っているデータが古いので、現在と集落の位置などが変わっているだろうと教えてくれた。

 GPS衛星などに相当する物は打ち上げていないし、そこまでの技術者も今はいないそうだ。

「地図に付いては、その都度更新するから大丈夫だよ。」

 とグリフは、ニコニコしながら教えてくれる。


 次に、移動手段も必要だと考えたハルトはグリフに手段が無いか訊ねてみた。

 グリフが言うには、ドーム内で使用されている乗り物があるらしい。

 “風”と言う名前の乗り物で、シートに座り起動させると宙に浮く。

 推進方法は空気を取り込み後方に噴出するだけ。などと、事も無げにグリフはハルトに説明する。

 ハルトが燃料について訊ねてみると、

「起動すれば、自動的に補充してくれるよ。

 しばらく乗ってないと、ちょっと補充に時間が掛かるけどね。」

 とのことだった。

 その“風”を貸してくれるそうなので、移動手段についても解決した。

 グリフによると、年齢制限があるそうで、乗ることが出来ないのは、ハルトとゲオルグなどの若者だけだそうだ。

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