第11話 大いなる意志
「ハルト。
それで、君はここに何をしに来たんだい?」
「それは、こっちが聞きたいよ。」
「その夢に出てきた神さまは、ハルトに何か言わなかったのかい?」
グリフの指摘を受け、ハルトは夢を思い出してみる。
「んー。
地名だと思うんだけど、“何処何処に行け”としか言われなかったよ。」
「“大いなる意思”が、そんな中途半端なことをするとは考え辛いんだけど…。
ハルト。君はその夢の中で、君達の神様を否定したりはしなかったのかい?」
ハルトは夢の中のことを、今一度思い出してみる。
「さすがに否定はしてないよ…。
でも、あまりに怖かったから、何もしていなくてスミマセン、と謝り続けていたな。」
「ハルト…。
大いなる意思であっても、話しを聞かない者には何も伝えられないよ…。」
グリフはハルトの行動に呆れている。
結局、ハルト自身は、この惑星ガダに何をしに来たのかは分からないままだった。
ハルトが来訪者だということが分かっていたので、グリフが過去の来訪者について調べたところ、その殆どの人が忽然と現れて、忽然と消えるということが判明した。
来訪者の中には、引きこもってしまい何もしなかった者もいたらしいのだが、その者は消えることなく、シオン(グリフ達の祖先が元々住んでいた惑星)にて生を全うしていたらしい。
何が原因で、何時、忽然と消えるのかも全く不明な為、何もせずにただ待つというのは、あまり良策とは思えない。
グリフは、調査した結果をハルトに伝えた。
グリフはハルトに告げてはいなかったが、大いなる意思から来訪者が現れることを知らされていた。
予め知っていなければ、研究者であるグリフが、突然現れたハルトをすぐに見付けることは出来なかっただろう。
祭事を除き、閉鎖空間内の人達ですら不用意に近付くことのないアイディーの樹のすぐ近くに、目的も無くグリフがいるはずが無い。
グリフはハルトの了承を得てから、大いなる意志のことや今の状況を団長や医師に伝えることにする。
グリフとハルトとの会話の全ては記録されている。
その記録を提出した後、閉鎖空間に住まう者達の多くは、“大いなる意思”に従うべく行動を開始する事になる。
“大いなる意志”がハルトやグリフ達シオンの人々に何をさせたいのか、未だ誰にも分からない。
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