3-4 勝機

「私は卑怯でしょうか、ユキ」

 郎蘭土ろうらんどカノンはベッドに腰を下ろしながら、制服をクローゼットに掛けるユキへ話しかけた。

 広く、掃除の行き届いた白い部屋が2人の自室である。

 通常、魔女と貴族の2人が部屋を共にすることは殆どない。命を預け合うジェミナスでもそんなペアは余程。プライベートは別にするというのが少女達の一般的な感覚。ジェミナスでもないカノンとユキのことなら尚更である。


「私はそうは思わない」

 ユキは簡単に応えると、向かい合うようにして並んだベッドに荷物を降ろした。


「ごめんなさい。あなたの了承も得ず、あんな無茶なことを言ってしまって」


自分でもなぜあんな突発的な行動をとってしまったのか分からなかった。転校生の事は知っていたし、イオがトップジェミナスになった事も知っていた。しかし、自分には関係のない事。幼いころから音楽に囲まれ、音楽にすべてを見出して来たカノンにとってアイアンメイデンでの決闘など、現実的ではなかった。


 だが、今日あの教室でイオを見た瞬間、自分の中の何かが強く動いた。

 イオを壇上へ上げた事に貶めるような悪意はない。自分も演奏が終わった瞬間まで決闘を申し込むなど思いもよらなかった。


 イオに決闘を告げた後になって言ってしまったという実感だけが残った。

 後戻りも出来ない。自分が何故そんなことをしてしまったのか。しかし、後悔はない。むしろ胸がスッとするような清々しさと興奮があった。


 それは、アイアンメイデンに乘りたいという気持ちは紛れも無い事実だったからだ。

 しかし、その理由をユキにいう事など、とてもできるはずが無かった。

 アイアンメイデンに乘りたい理由―それを考えるとあまりに馬鹿馬鹿しく、自分でも赤面しそうになる。


「私は着いていくだけだから」

 ユキは荷物を整理すると立ち上がり、棚から一抱え程の大きさの木箱を取り出す。


「それに……」

 ユキはベッドに木箱を載せると立ったまま付け加えた。


「それに?」


「心が動いたのなら、それに従う方がいい」


 一見無感情で冷淡な口調と態度。しかし、カノンには分かる。パートナーが自分を気遣ってくれている。それが分かっているから彼女は優しく微笑む。


「ありがとうユキ。あなたの為にも精一杯戦います」

 木箱から包帯と消毒液を取り出すユキが眼鏡をかけ直すのを見て、カノンは益々メイデンに乘る理由を告げる気が失せた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「こないだのことだけど……」


 突然、自分の前に立ちはだかったセイラ・百合園の姿にモネは驚き、後ずさった。奥に逃げようとも、生徒用待機室には既に人がごった返し、セイラの登場もあって人の壁すら出来ている。


 こないだのこと―とはなんだろう? モネが聞き返す間もなく、

「謝るわ。ごめんなさいッ」

とセイラは深々と頭を下げた。目線まで下がって来た金髪がまぶしい。


 今は違うと言えど学院のトップジェミナス。そのセイラが地味なモネに頭を下げている、周りのギャラリーからはどよめきが起こった。


 何のことを言っているのか理解するには少し時間が掛かった。

 が、すぐに律儀な人だなとモネは思う。セイラはイオの言った言葉を覚えていたのだ。自分が負けたらモネに謝る、そんなこと当のモネですら忘れていたのに。


「そ。そのとおり。セイラもすっかり忘れてたからねぇ。私が教えてあげるまでねー」

 セイラの背後から出て来た少女が、モネの思考を読み取ったように返答しながら明るく笑った。


 黒い制服。魔女だ。


 モネは見覚えがあった。セイラのパートナー、九々くくコノミ。お嬢様気質で気丈に振舞うセイラとは対照的に陽気で口がよく動く。

 思考を読み取ったのは彼女の力であろう。

 頭を下げていたセイラはガバッと半身を起こすとコノミの方を睨みつけた。


「いや、本当の事じゃん。そんなこと言ったって事実は事実でしょ? だからそれは今絶対に関係……それとこれとは別でしょ!!」


 何も言わず射すくめるセイラに対して、爆発したように喋るコノミ。


「私の頭の中、読まないでもらえるかしら!?」

 そう怒鳴りつけるとセイラは咳払いをしてモネに向き合った。


「別にあなたに申し訳ないとか思っている訳じゃないから、勘違いしないで。私はただ、約束を守らない人が嫌いなだけ」

 冷たく言い放つ。照れ隠しではなく、心の底からそう思っているのだろう。

 モネはそんな視線に耐え切れず、目を伏せる。


「自分だって忘れてたくせに」

 先に部屋の奥へ入って行ったコノミが呟く。


 セイラは目を吊り上げ、指をさして無駄口を叩くパートナーの背中に、何かを言おうとしたが下唇を噛むだけでやめた。


「そんなきったない言葉、女の事が使っちゃダメでしょ? さ、自信満々のセイラ様を倒しちゃった転校生の戦いをみましょ、みましょ」

 カノンはセイラの思考を読み取ってソファーへ腰を掛ける。


 当のセイラは苦虫を噛み潰したような表情で拳を固く握りしめ、のっしのっしとコノミを追いかけ、ソファーへ身を落とした。


 部屋に設置された大きいモニタの中では今まさに戦いの火ぶたが切って降ろされようとしていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ここから始まる。

 スキンドレスに包まれた小さな胸の奥で、イオは思った。


 足元でざぁぁっと展開して行くレゴリクターが鬱蒼と生い茂った森林を形作る。イオの載るアイアンメイデン―ブラッディローズが射出された場所はコウシャ・ウラ、その森のど真ん中。


 青白い人工月の灯りが照らす巨木の群れは静けさに包まれていた。


 チカッと光が走り、前方にもう一つの機体が姿を見せる。


輝くような黒をベースに銀の縫いステッチが入った機体。

肩には巨大な六角形の装甲、頭部には扇形の王冠。

そこから後ろへ流れたウェーブが極彩色に発光している。イオのローズに比べてもより、女性的で細く、周りに巨大な樹林が無ければ彫刻に思われる。


 立っているだけで美しい。

 カノンとユキが操るアイアンメイデンだ。


「オーキッド・グランツィオーソ」

 肩を回しながらウォームアップをするイオにアンヌが機体名を伝える。


「ぐ、ぐらんつ? おーそ? ……舌噛みそうな名前だな」


 不安は尽きない。相手は昨日までアイアンメイデンに触れた事すらない初心者。だが、それはイオも同じだ。戦いと言う戦いはほぼしていないに等しい上に、ローズへの搭乗はこれが3度目。

 0と3を比べるのが馬鹿馬鹿しいことぐらいイオにも分かる。


 加えて、昨日の立ち振る舞いや演奏技術の高さ、戦いには直接関係ないとは分かっていてもカノンという人間が持つ凄味や迫力が不安を煽った。


 それに彼女は『才』を持った人だ。

 勝算も無く戦いをけしかけてくるなどと言う愚かな行為をカノンほどの人物がするとは思えない。一体なぜ彼女はアイアンメイデンに乘るのだろうか……

 

 イオはふわふわと手を動かし、ソワソワと太ももを摩ったりしてみる。


「深呼吸して………?」


 ハッとしたようにイオが振り向き、言われた通り深く息を吸って吐く。激しい胸の脈拍が一瞬止んでぽっと暖かくなる。


 イオは口元を緩め、微笑すると前を向き直った。


 だから、ここから始まるのだ。

 学園のトップジェミナスになる為の戦いが。


 セイラとの決闘はいわばビギナーズラック、とはイオも思いたくはない。だが、事実を羅列してみた時、そうとしか考えられなかった。怪獣との闘いも運が良かっただけかもしれない。


 才能がないと思うのはある種の保険であった。

 せめて、アイアンメイデンだけは才があって欲しい。そう願うイオである。

 願望を現実にする為には戦って証明するしかない。


 試されているのだ。

 本当にアイアンメイデンの乗り手として、ガーデン一億の命の守護者として、自分が相応しい存在なのか。

学園トップを守り、姉のような人間になる。そしていつか―

 拳を握りしめることで発生したPVCの擦れる音を掻き消す様に男の声が響く。


『両者、準備完了。戦闘開始だ』


 ハンガーが解放され、数百tの巨体が地面へ沈み込む。

 振動こそ伝わってこないが、轟音に驚いた無数の鳥たちが一斉に飛び立つ。レゴリクターの感度を上げていないので逃げ去る鳥の群れは前方のスクリーンで確認するのみであった。

 四散して行く鳥たちの向こうにカノンのメイデン、オーキッドが立ちはだかる。

 

 イオは両の足でしっかり地面を踏みしめると2歩、前進して敵を見据えた。

「カノンさんッ お互い 手加減はなしだぜッ!」

 オーキッドがコクッと頷いて見せる。


 対物距離は4000。近くはないが遠くもない。

 にらみ合うその姿は一見、互いに相手がどう出るか見当が付いていないようである。しかし、数秒も置かず、火線が切られた。


 イオだった。

 

「プロトンビィーーームッ!」


 ぱしゅッとイオンが焼ける音がして超高温の熱線が飛ぶ。

 イオの視線はビームより先、オーキッドをずっと捉えている。その為、オーキッドの背中から何かが打ち上がるのと、ビームの発射が同時であったことに息を呑んだ。


 打ち上げられた黒い物体は、空中で弧を描くようにしてビームを弾くと、物体はオーキッドの周りを一周すると、そのまま右手へ納まる。

 黒い“それ”は、オーキッドの腕の中で初めて実見出来た。


「ば、ヴァイオリンだとぉッ!?」


 それは紛れも無いヴァイオリンであった。50m近い、アイアンメイデンに合わせて作られたそれは誰の目にも弦楽器と分かる代物である。


 本体ボディの上に張った4本の弦、それを持ち上げる駒。ネックの先には弦を張るペグが、カメレオンの舌のような独特の造形―スクロールを見せる。ボディ両側には2つ、エフ穴まで空いている。

 

 材質はなんだ―見た目では木を削り、上からニスを塗ったようにしか見えない。

完璧なヴァイオリンだった。

 巨大な鉄の人形が木目の付いたヴァイオリンを掲げている姿はあまりにも奇妙で幻想的である。イオは一瞬、現実の狭間が分からなくなるのを感じた。


「一体、なに……するつもりだ」

 イオは我とは無しに呟いてしまった。ヴァイオリンを掲げてすることなど一事が万事、決まっている。


 オーキッドは脚部の収納コンテナからサッと細長いサーベルを抜き取る。

 弦を弾くための弓だ。そっと弦へ弓を落とすと同時にガバンッと六角形の肩アーマーが展開。


一挙手一投足が、昨日見たカノンの動作だった。演奏をする構えだ。

 

 そして―


 その演奏もまさしくカノンのそれである。

 奥行きと深みがある柔らかな音色。

 オーキッドの細い指先が、押弦しネックを揺らしてヴィブラートを掛ける。


 泣くような、喜ぶような音が聞く者の心を鷲掴む。

 音と言う刺激が感情さえもコントロールしてくるのだ。

 人間は音を遮断する術を持たない。無防備な心がずんずんと刺激されていく。


 巨大とはいえ、聡明な職人が作り上げた紛れもない本物のヴァイオリン。それにカノンと言う天才の演奏が加わる。

 無意識に戦いという事を忘れ、聞き入ってしまう音色。

 音が、演奏が、美しい。


 壮麗な音色にアンヌも行動を起こすことが出来なかった。計器類から顔を上げ、眼前で一身に音楽を奏でる美しいアイアンメイデンを見つめる。

 これが決闘であると再確認しなければならない程、相手に殺気がまるでない。攻撃の素振りも、防御の姿勢もみせない。自分達に演奏を聞かせる為、決闘を申し込んだのではないか、違うと分かっていてもそんな考えが頭を過る。


「ッ、戦いを舐めんじゃあねぇッ!!」


 イオが叫ばなければずっと音を聞き入っていたかもしれない。

 アンヌは頭を振ってしきりに瞬きを繰り返す。

 尖端していた視界と意識がスッと明瞭になり、広いコックピットが見渡せた。

 途端にイオの次の行動が脳髄を透き通って行った。


 両足のフォトンノズルがチリチリとアイドリングをはじめ、突貫する準備を1秒もかからずに完了した。前に出たローズの右足が地面を蹴ろうと大地へめり込む。


 上半身を前のめりに構えてダッシュの体勢を取ったその瞬間、カノンの声が演奏に紛れて響いた。

「………戦いは既に始まっています」


 言うと同時だった。

 突如殴りつけられたかのような強い衝撃を頭に受け、震盪を起こし、よろける。

 イオは最初、ミサイルなどの火砲の直撃を、頭にピンポイントで受けたのだと思った。

 少なくとも、それを音だと認識できるまでにはかなりのラグがあった。

 

 追うようにしてぴぃーーっと言う耳鳴りが頭の中を突き抜け、それはドンっという轟音に変わった。そして初めて、凄まじい音量を持った音の波が自分に降りかかっているのだと理解した。

 内耳を掻き乱し、奥へ奥へと突き刺さって来るような騒音。

 頭が割れ、脳症が沸騰してしまいそうだ。


 とても平静でいられずはずもなく、イオは必死に両手で耳を塞ぎそのまま倒れ込む。

 

 アイアンメイデンを操縦するコックピット―ウテルスは機体の股間部に位置している。幾重にも折り重なった装甲版に覆われ、耐圧殻に守られたこのユニットは、機体のどの部分よりも安全で快適だ。


操縦者の命を守るだけでなく、一族の血を絶やさない為、深海や宇宙、灼熱の地獄であったとしても何の変化も起こさず、搭乗者に絶対の安全を与えるよう設計されている。無論、それは防音の面に関しても同じ事が言える。

 その為、コックピットは通常無音。真空にも似た静謐さに包まれている。戦闘時の環境音は、機体に配された無数の集音マイクがスピーカーを通じて流しているに過ぎない。


 アンヌは痛む頭を押さえて、即時に集音システムを遮断する。


 しかし、音はそれでも止まない。耳を劈くような爆音は装甲を突き抜けるようにしてコックピットへ響く。集音システムに何か細工をされたような形跡は一切ない。勿論、故障を告げる警報も無い。これは紛れも無く唯々馬鹿デカい音なのだ。

 ブラッディローズの防音機構でも防ぎきれ無い凄まじい音圧。これでもある程度は防音されていると思うとアンヌはゾッとした。


「うあぁあぁぁああッ!」


 イオの叫びがピリッと脳髄を刺激する。彼女は発射を告げることも無く、プロトンビームを放っていた。この痛みと苦しみから脱する為の必死の抵抗であった。

 盲滅法に撃った線状の光が空中で泳ぎ、運よくオーキッドを掠める。


 反射的にオーキッドは演奏を中断し、後方へジャンプで後退。


 おかげで騒音はフッと止み、凪が来たような静けさがコクピットを支配した。

 音が止んでも、内耳がじじじっと揺れて軋み、頭蓋がじんじんと痛む。

 イオもアンヌも痛みや驚きを口にする余裕も無かった。2人の額には玉のような汗がぽッぽッと浮かび、たたッと床に落ちた。


「な、なんだあれは………」

 掌で顔の汗を拭いながら立ち上がるイオのタフさにアンヌはまず驚いた。


「超音波……でも………」

 分析しようとしてアンヌは止めた。今はそんなことをしている場合ではない。


「直ぐに次が来るわッ 攻めてッ!」

 現状対応のしようがないオーキッドの攻撃にアンヌは迂闊にもそう言ってしまった。


「言われ無くたってッ」


 全重を掛けた左足が固い地面を蹴った。抉れて舞い上がる土と木の破片をフォトンメノンが吹き飛ばす。フォトンメノンとはフォトンが劣化した物質で、結晶化し噴射することでそれが推力に変わる仕組みだ。

 音も無く、匂いも無い。ただ、結晶の残滓が空中でキラキラと燐光する。


 フォトンメノンがまばゆい光を放って、2人を隔てていた数キロと言う距離が一瞬にして詰まった。疾い。圧倒的に速かった。カノンも演奏する隙が無い。


「ブラッディメアリーッ!」


 両肩から突き出た羽根がパージし、虚空へ弾け飛ぶとそれは惹かれ合うようにして合体。長い刃先が月光を照り返す、斬獣刀ブラッディメアリー。ローズ、そしてイオの必殺武器だ。

 一瞬、空中で固定される様に静止した大太刀をイオの右手ががっしり掴む。


 イオは太刀を胸の前で構えず、伸ばした手の先に構えた。空気を裂く切先が白い筋を走らせ、オーキッドの上方へ走る。


 駄目だ―アンヌは思っていたが言う暇がない。正面からぶち当たろうとしているにも関わらず、外周から大きく斬り込むイオの攻撃はあまりにも無駄がありすぎる。肝心のローズ自身が無防備な上に、大外から斬り付けるのでは有効なダメージを与えることなど出来ない。


 だが、オーキッドを操るカノン、そしてそのパートナー、ユキが共々に初心者だったことが功を奏した。初めて見るアイアンメイデンの推進力と機動力に動揺し、距離感を掴むことが出来なかったのだ。対応が遅れたカノンは、右斜め上から大きい円を描いて迫るローズの太刀を防ぐことで精一杯。


 カノンはヴァイオリンを避け、弓で下段から太刀を上へ受け流して見せた。


 じゃいッ、太刀と弓が火花を散らして空中で擦れ合う。ここでこのまま正面に斬り込んでいけば、次の手が厳しくなる―そう判断したアンヌがフォトンを噴かし、姿勢を制御しつつ上昇。太刀と弓が擦れ合いながらイオはオーキッドの頭上を抜けて行った。


 空中でフォトンを切るとローズの機体は木々をなぎ倒す様にして森へ着地。


 イオはまだ斬り合いの感触が残った片手を見た。

 重さが無い―太刀が、ではない。ブラッディメアリーを弾き返すカノンの力があまりにも弱い。滞空していた所為で地面ごと踏み込むことが出来なかったが、もしこれが仮に接地した状態で斬り付けていれば。


 アンヌはイオよりも早く、後方を振り返った。コックピットを360度、ぐるりと覆うスクリーンはフォトンメノンの中、佇むカノンのオーキッドを捉えている。咄嗟の対応が彼女たちの限界だったのだろう、オーキッドは振り返ることも無く自分の体、そしてヴァイオリンに傷を受けていないかしきりに確認している。

 戦闘慣れしていれば絶対にあり得ない動き。


 経験不足―そう直感したイオとアンヌの視線がぶつかった。

 振り返ったイオの目が輝いている。先ほどの苦痛が嘘のようであった。


 郎蘭土カノンとユキ・カナメは紛れも無い初心者。アイアンメイデンの操縦だけでない。闘いという物を行う事に関して、圧倒的に経験が不足しているのだ。


 ビギナーであるのはイオも同じ、だがアイアンメイデンを動かす為には2人の少女が必要なのだ。イオは初心者でも、自分は違う、アンヌは思った。

 

 イオが何かを察して頷き、アンヌもそれに返す。



 ―イオもアンヌも間違いなくそう思った。



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