第81話 オスカーの独り言~人口増加計画~
アーキャリー姫がノーストリリア城に来た。
俺の部屋から3つ隣の部屋らしい。
だからネネルとメイド達が機嫌悪いのね。
まったく、嫉妬してくれちゃて。モテる王子は辛いな、ふっ。
ウテル王から正式な妻にと言われ、ちょっと待ってくれと保留にした。
しかし、安全を考慮してとりあえず早急に受け入れることになった。
この世界じゃ王は一人の王妃に側室って普通の事らしいけど、
俺はなんかそういうの嫌だった。
どうせならみんな平等、これ最高。
制度が嫌ってのもあるけど、夜番連中の事もあるし、何より俺にはある構想があった。
『人口増加計画』
まずこの世界は戦乱の世。いつ戦いが始まるか分からない世の中だ。
戦争とは国力と国力の潰し合い。
国力とは超簡単に言えば土地の広さと人の数だ。
前世の大国は皆広大な土地と資源を持ち、億を超える人間がいた。
だから覇権を取ることが出来ていた。
ザサウスニア帝国の人口は10万を超えている。
大してケモズ共和国を吸収した我がキトゥルセン王国の人口は2万にも届かない。
生めや増やせや。
戦前の日本じゃないけど、国を強くするには結局これが一番。
で、そうすると結婚という制度はあまり効率的ではない。
収入や親の性格、思想で子供を産まない家庭も出てくる。
それを容認している場合ではない。
かと言って強制も出来ない。
どうしたら子供を産もうと思うか。俺は考えた。
メイド達と毎夜毎夜楽しい事をしている時にも頭の隅では考えていた。
それは、出産した女性に功労金を払い、子育てを国が代行する、という計画だ。
コホン、詳しく説明しましょう。
あ、待ってスーツ着てメガネかけるから。
あとサーフェスプロとプロジェクター用意して。
場所は第3会議室です。
うん、そのUSB。そうパワポで作ってきた。
え? 椅子足りない? あった? よかったよかった。
あと皆さんにお茶!
まずですね、十神教の神殿に全寮制の学校を併設します。
そこで高度な教育と、軍事訓練を受けさせる。
もちろん、運営は城がします。
女性は結婚しなくとも、収入や環境を考えなくとも、
気軽に子供を産み、学校に預けるだけでいい。楽ですね。
妊娠期間中はジェリー商会傘下の工場で軍関係の装備制作など簡単な労働をしてもらい、
対価として無料で栄養満点の食事を好きなだけ食べることができ、
病院併設の清潔で豪華な寮に住める。羨ましい!
身の回りの事は全てスタッフがやってくれます。ほんとに羨ましい!
そしてさらに、出産後に功労金として200万リルを貰えちゃいます。
貰えちゃうんです。
200万リルとは節約すれば1年間は仕事をしなくとも暮らせる金額です。
ただし、いいですかよく聞いて下さい。自分の産んだ子供とは二度と会えません。
何でか分かりますか、皆さん。……それは、子供が混乱するからです。
その代わり、生まれた子供は国家の子供とし、
誰もが羨む超英才教育を受け、エリートになれます。
親がいないことでの心理的欠損は信仰の力に頼りましょう。
きっとユウリナが完璧なカリキュラムを作ってくれます。
そしてもちろん、結婚という制度自体は禁止しません。
幸運にも真実の愛に巡り合うことが出来た二人は今まで通り家で子供を育て、
幸せな家庭を築いてなんら構いません。
ターゲットは若者、生活に困っている家庭など。
え? 男には何かないのかって? 男は働け、バカ。ばら撒くだけだろ。
女は命懸けなんだよ!
前世の日本の社会問題をヒントに練り上げた計画ですが、どうでしょうか。
まあ正直言うと、今国にお金があるから出来る事なんですけどね。
嫌悪感を示す人もいるでしょう。
しかし、賛成する人もいるでしょう。
モラルは無視。仕組みは上々だと思います。後は国民に任せます。
以上、人口増加計画についての説明を終わります。
ご清聴ありがとうございました。パチパチパチ……。
ヤバいかな? やばい方向行ってるかな?
独裁主義もいい所かな? ヒトラーも真っ青かな?
でも虐殺されるか奴隷にされるかもしれないんだから、
出来る限りの事はやろうよ精神で考えたんだけど。
うーん、どうでしょう?
ていうかもう疲れてきた。考えるのめんどくさ。
いっか、俺、事実上の王だし。
好き勝手やっちまうか。
うん、やっちまおう。
そんで冒頭の話。
こんな計画立案した本人だからさ、やっぱ自分も参加しないと説得力ないじゃん?
だからアーキャリーとは婚姻は出来ないけど、
賓客として住んでもらうってことにしようと思う。
アーキャリーはどう思うかな?
ウテルお父さん納得するかな。でも温厚な人に限ってブチギレたとき怖いしなぁ。
でもネネルやメイド達の機嫌は直るよな。
はぁ、胃がキリキリする。今日はカカラルの所で寝ようか。
でも今日の夜番の子に失礼かな? 女がここまでしてるのに? 的な。
今日の夜番の子誰かな……
あ、メミカね……ふーん、はいはい、そうですか……やっぱ自分の部屋で寝よう!
何だろう……今無性に同年代の男の友達が欲しい。
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