第32話 災いを封印する。その1

「ねえねえ、ペリー。」

「何? ちいちゃん。」

「私たち! 災いを封印! 少年少女剣客隊!」

「おお! パチパチパチパチ!」

「決まった。どう? これで最後まで押していこうと思うの。」

「いいんじゃない。ねえ、楓も、そう思わない?」

「食事中です。」

「今度はサツマイモを食べてる!?」

「お米は楓ちゃんが食いつくしました。」

「楓に聞いた私がバカだったわ。」

「災いを封印か。私たちが災いではないのね?」

「私たちを災いにすると、世間の人からは恐れられている。でも実は良い人だった。若しくは悪い者にとっての災いということが想定できるわよね。」

「どちらにせよ。災いを封印しよう!」

「おお!」

「おまえたち、盛り上がるのはいいが、どうやってご先祖様たちを封印するでござるか?」

「お札を額に貼ればいいんでしょ?」

「それはキョンシーだ!?」

「私たちは、家々のご先祖様たちの封印の方法を知らなかったわ!?」

「今更、気づいてしまった!?」

「芋蔓で首を縛り上げよう。」

「おお!? 楓にしては、まともな答えね。」

「マジか!?」

「そういう、家々には何か案があるの? ご先祖様たちを封印する方法。」

「ある! 僕にはあるぞ! 荒れ狂った邪神の如き徳川15将軍のご先祖様たちを封印する方法が! 聞きたいか? 知りたいか? それならば徳川家にひれ伏すがいい! 下民共! ワッハッハー!」

「誰が下民だ。殺す。」

「大砲をぶち込む。」

「お腹空いた。」

「もったいぶらないで、さっさと答えろ。」

「いいだろう! 大サービスだ! 教えてやろう! ご先祖様たちを封印する方法を! それは!」

「それは!?」

「分からないから、ご先祖様に直接に聞いてみる。」

「結局、分からんのかい!?」

「ごめんなさい!? 目立ちたかっただけなんです!? ゲホッ!? ウギャ!?」

「やはり、額にお札を貼るしかないわ!」

「それがダメな時は、心臓を貫きましょう!」

「ご飯を食べさせれば、お腹がいっぱいになって満足して成仏するんじゃない?」

「死人で霊の私は、この世に未練があるから成仏していないのかな?」

「僕たちは、いったい何と戦っているんだ?」

「静まれ! 野郎共!」

「桜先生!?」

「ちょっと個性を出してみました。みんな、席に着いて。」

 子供たちが騒いでいると、桜先生がやって来た。

「遂に災いの徳川15将軍と対決ね。みんな、がんばるのよ!」

「桜先生。ジ~ン。」

「あなたたちの死は無駄にはしない。」

「勝手に殺さないで下さい!?」

「ついよ、つい。アッハハハハ。」

「それでも教師か!?」

「はい。こんなんでも教師です!」

「言い切った!? 何て心臓の強さ!?」

「幽霊なので、心臓が無いんですけど。アッハハハハ。」

「強い!? 何を言っても返される!?」

「恐るべし、幽霊女教師!?」

「桜お姉ちゃんは、楓の自慢のお姉ちゃんだよ。」

「ありがとう! 我が妹よ!」

「アッハハハハ!」

「幽霊と暴食の最強姉妹だな!?」

「ワッハッハー!」

「おまえも笑うな!」

「釣られて笑ってしまった。」

「このままでは災いが封印できないので、災いの徳川15将軍の第1代将軍、徳川家康さんに出てきてもらいましょう! どうぞ!」

「どうも私が徳川家康です。」

「本当に出てきた!?」

「最初から、ずっと待機していたんだよ。」

「そうだったんですね。お待たせしました。ご先祖様。」

「長かった。トイレに行ってもいいか?」

「封印されてから言って下さい。」

「生理現象だぞ!? 人権侵害だ!?」

「ご先祖様は幽霊でしょ!?」

「あ、そうだった。桜先生も幽霊ですが、トイレには行くんですか?」

「え? ええー!?」

「セクハラはやめて下さい!? ご先祖様!?」

「すまん、すまん。つい若い頃を思い出してな。」

「許さん! 女の敵は、断じて許さん! セクハラ! 児童ポルノ! 不純異性交遊! 私の生徒は命に代えても守る! それが教師の本懐だ!」

「なんという禍々しい妖気!?」

「すまん!? わしが悪かった!? 許してくれ!?」

「問答無用! いでよ! 妖怪! 怨霊! 魑魅魍魎!」

 桜先生は、徳川家康のセクハラにブチ切れた。

「蛍ちゃん!?」

「そう、呼び出したのは、私の旦那です!」

「どうしたの? 桜さん。」

「実は、あのクソジジイにセクハラされたの!」

「なんだって!?」

 怒った蛍の周囲に蛍火が咲き誇る。

「俺の妻に手をだそうだなんて、許さないぞ!」

「まて!? 触ってない!? トイレ大丈夫ですか? と聞いただけだ!?」

「言い訳無用。判決を言い渡す。おまえは死刑だ! 逮捕では生ぬるい。」

「ギャアアア!? 家々!? 我が末裔よ!? 何とかせんか!? 友達のお父さんだろう!?」

「ご先祖様、会えて嬉しかったです。」

「見殺しにする気か!?」

「さようなら。」

「薄情者!?」

 家々は、徳川家康を助けなかった。

「セクハラ野郎。いつ蛍が光るか知っていますか?」

「え? 夜でしょ?」

 蛍は蛍光刀を構える。

「違う! 蛍はセクハラ野郎を斬る時に光るんだー!!!」

「ギャアアア!? 家々! 徳川の再興を頼んだぞ!」

 青く光を放つ蛍光刀が妖刀らしく、霊である徳川家康を切り裂いた。

「封印できないなら、切り殺せばいいのね。さすが私の亭主様! キャー!」

 結局、一人勝ちの桜先生であった。

 つづく。

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