第 0 話 神隠し 『 プロローグ 』

第 0 話 : [ プロローグ ] ─ ( 1 )




「 バケモノめ … 」


 秋葉中華 来々軒ライライケンの裏口で、静かに息を殺す。


 獲物の娘は難無く確保したが…


 チキショー …


 厄介ヤッカイに着きまとわれちまってらぁ … 。


 屋根のトイに激しく打ちアフれる雨水が、軒下ノキシタで様子をウカガう青年の右肩を伝っては落ちて行く。


 万世橋交差点に接する建設中のビルで、の時間はトウうに過ぎてしまった。


 この場はマズイ… 直ぐに、追いつかれてしまう … 。


 計画を変更しいてから、まずは丘の上の『聖リオナ教会』へと一旦、身を隠くす。

 その後、風雨の様子を見計らって仲間達と合流する事とした。


 ツヅミの様に左肩に担いだ娘の右臀部ミギデンブ付け根からテノハラを滑り込ませ、そのセメギぎ合う奥へと、手慰テナグサみを試みる。


「チィ… まったく、奴は何者なんだ …


 クッソウ… 」


 彼は若い肉感をモテアソびながらも、焦る気持ちは一向に治まらない。




 先程よりも風雨が増し、より視野がサエギられる。


「今宵は、満月のはずだぜ …」


 空を確かめる彼に、に稲妻の洗礼。




「 ウグゥ… 驚かせやがって!!


 雷も鳴り始めやがった!!


 ついてねぇぜ!!


 まぁ … それにしちゃぁ …


 魔障マノサワリが雷にビビってりゃぁ …


 世話ねぇやさぁ… 」


 彼は自嘲ジチョウ気味にツブヤく。


 担いだ娘に雨が吹き付け、ピンク色のソロった下着が、白いセーラー服へとカスミの如く浮かんだ。




( ガシャャャン !!!!!!)


 再び、大きな落下音。


 しかし、今度は雷では無い!!奥のビル上より、何か地面へ落ちたのだ。


 黒い塊が、カラカラと音を立て、此方コチラへと近づいて来る。




 それは、人が車椅子に乗っている様子だが、闇の中に在ってハッキリとは確認出来ない。


 強い雷雨は、近づいて来る人物の、白いセーラー服と思われる表面を執拗に濡らし続けているが、その一方、肌の上では、何か内側から弾かれる様にコボれ落ちて行く。


「 あんなの到底、じゃねぇぜぇ… 」


 彼は驚愕キョウガクしながらも、ピンク色のショーツからウルオった指を抜き取ると、一度鼻先へと回し、若い残り香を味わう。


 すると突然!!


( ドサドサドドザザ!! )


 車椅子と彼の間に、ニブい肉の打ち付けられる音がする。


 それは、首と胴が別々に成った人狼三体が、ビルの谷間より降って来たものだった。


「 こっコイツら!! 獲物の調達を、さっきまで俺と一緒にしていた連中だぜ … 皆… られちまったのかっ!!!」


 眼前の光景が信じられない彼は、グイと闇の中を見返す。

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