第2話 : GHOST : ゴースト ( 2 )




「深夜に、キャリーバッグを引いていた処で罪には成らねぇだろっ!!


 その中にリコが入っていたと言う根拠は何だ!!


 俺は、次の日からプロモーションで使用するを、撮影事務所に運んでいただけだ!!」


「ギターを深夜にねぇ…。


 まぁ… あなたが、そうするのだったら、それでもいいわ…。


 でも、マンション駐車場の防犯カメラには、車までキャリーバッグを引いて来たとに庭砂利へ、ハッキリワダチを残しているのを確認したの。


 後で、鑑識課カンシキカの立ち合いで実験したけれど、25㎏以上の付加をかけないと、轍のアトが砂利に残らないわ。


 つまり、ユウスケさん、あなたは、ステージ上で最低20㎏以上のギターを首からげて演奏している事に成るわね。


 さすがに、音楽にウトい私でも、それは無理な事くらい理解出来るわ」


 タチバナが、両手に手錠を掛け様とするが、彼は、まだ小さく抵抗の素振りを見せる。


「まあ。 あなたの事だから、警察側のが無い処につけ込んで、否認し黙秘モクヒを続けるつもりでしょう。


 だけど、今日使用してるキャリーバッグは、先日の画像解析から、リコさん殺害時にも同様に使用されていたと推測されるから、直ぐ内側より、被害者の指紋その他、DNA鑑定で立証出来る物的証拠が必ず、見つかるはずよ」


 完全に手錠を掛けた処を確認した少女は、聖戎具アークを抜く。


「くっそう …。 顧問弁護士のヤメ検先生が俺を… 」


 言い終えぬ内に京子がサエギる。


「さっきから、ヤメ検、ヤメ検って繰り返すものだから、かえってに付くのよ。 いいわ。良い事を最後に教えてあげる」


 抵抗を止め、今度は彼女を返り見る。


「あなたにヤメ検先生方に、心酔しているけど、元検事と言うだけで、タダの弁護士よ。


 きっと最近では、政治家、官僚、大手企業の不祥事、はたまた有名芸能人の顧問弁護士としてメディアへのが多いから、有り難がる風潮があるわね。


 だいたい、事件の真相なんてにでも乗って見てこなくては、誰にも分からないわ。


 つまり、裁判と言うのは、検察側と弁護士側、双方にとって都合の良い昔話を裁判官に聞かせて、ストーリーを構成する争いなの。


 そこでヤメ検先生方は、過去の経験を生かし、検察側が証拠として挙げて来る物を、先廻りして抹消マッショウする事で、立件その物を出来なくしてしまうの。


 何も、オセロゲームの様に黒を白にひっくり返す事は出来ないわ。精々、灰色までね。


 極悪人を悪人に変えられても、には出来ないのよ。 都合の良い妄想はヒカえる事ね …」


「グッそぅぅ …。 ほざけ!!


 必ず、必ず、この借りは、一人々々、全員に返

 してやるからなぁ…。 憶えてろよっ!!」




「まぁ … 逆恨みもいいところね …。


 もはや、では無いわね。


 なまでの被害妄想よ…。

 

 不憫フビンにさえ思えて来るわ…」


 そうタチバナが、本気で眉をひそめると、手錠を引き、車の後部座席へと押し込む。


 彼は、ウインドウガラスを拳で激しく叩き、何か此方コチラへと大声で叫んでいるのだが、


『 キキキュッ!!』とタイヤが響くと、足早に場外へと離れて行った。




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