第2話 : スターライト・エクスプレス ( 2 )




 一緒にチェキを撮る相手は、本日、当店を初めて御利用の車椅子に乗った可愛い ″お嬢様″ であった。


 撮り終わり席に戻ると、直ぐにリコピンが、彼女の隣でインスタント写真に、コメントやイラストをカラーペンで書き添えるサービス、通称 ″ お絵かき ″ を始める。


 お嬢様は、コンセプトカフェ自体、今日が初めて!?

 まぁ…!! それなのに、当店を選んでもらえて、リコピン嬉しい!! 私、から女の子が して頂けるの楽しみにしているのよ。


 えっ? …? 特に珍しくは無いと思うのだけど… 良く分かりましたね。 えぇぇ… さっき目が不自由だとお聞きしたので … そうなんです。 何で見えていらっしゃらないのによく… あらごめんなさいね。

 チェキに、お絵かきをしている私のヒジが、お嬢様のヒザに当たっていたのね。


 えっ?私?私の?気に成ります? えぇぇ実は…

 私は、生まれながらに目が悪くて、幼い頃から眼鏡を掛けていたんです。 病名も着いていて『若年性老化眼衰症』と聞き慣れない病名なんですけどね。要は、普通の人より視力の衰退が大変早いと言う病なんです。


 眼科の先生のお話しですと、本人の眼球その物を取り変えない限り、完治は有り得ないそうで、現代の医療では難病指定されているとの事でしたの。


 でも、奇跡って本当にあるんですね。たまたま、三週間ほど前だったかしら …? 駅前で献血の協力をお願いされて… 御存知? 直ぐ高台にある… そうそう、長い階段の頂上 … 『聖リオナ教会』の隣で開院している『聖リオナ付属総合病院』で採血したの。


 すると、院長先生が御礼に教会で、私の目の病に向けて、祈りをササげて頂ける事と成ったの。 始めは、恐縮してお断りしようと思ったけど … 先生も是非にとオッシャるので … 私もその誠意に押されて …。


 静寂な教会に私独り十字架の前にヒザマズいて、眼鏡を外してから目を閉じると、先生が優しくその上に手のひらを置いて、5分程、何かお祈りをして下さっていたわ …。


 しばらく経って先生に目を開ける様、ウナガされて目の前の神様の像を拝見したら、ハッキリと見えるのよ。もう一度試しに、天井窓にある、聖パウロのステンドグラスを見返してみても本当に目が治っているのが良く分かるの。


 ああ…ちなみに、そのステンドグラス、ちょっと前までは、神の子を抱擁する様だったらしいの。いつだったか、凄く雷雨が激しい日が有ったのを覚えていらっしゃらない? しばらく経って大きな満月が顔を覗かせた奇妙な夜… 良かった、お嬢様も覚えてらっしゃたのね。 どうやら強い風に飛ばされて来た障害物が、天井窓に直撃して破壊して行ったそうなの。 院長先生は、その著名な芸術家の作品を失なわれて、随分と落胆されていたわ …。

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