第2話 : 秋葉児童養護学園 ( 5 )
「どっどうしたんだ!!
サユリ… 何故こんな …
ちっ血がぁ …
信じられん!! 誰だ!!誰なんだっ!!許せんっ!!許せんぅぅぅ!!
さてわぁ …
サユリの特別待遇を
ああ… そうに違いない!!
私が探し出し、必ず重い処罰をしてやるっ!!
ああ … 可愛いサユリ 、大切なサユリ…
私のサユリ … 」
サユリは他の生徒同様、生活は厳しく管理されているが、彼女は特別に学園長の監視下に置かれ、一日のスケジュールは元より、持ち物全てに
彼には、サユリが大人の女性へと成長して行く現実が、許せなく、まだ受け容れられない。
いや…
本心では、恐ろしいのだ …
あの女に心も躰も近づいている気がして…
自分の手元から飛び立ってしまう日が近づいている気がして …
お前は、私の愛情の中で、ゆっくりと成熟すれば良い。
サユリ… お前が16歳に成ったら結婚式を挙げよう。それまでは、理想とする完璧な妻となる為に、日々精進させ、身も心も私に、ふさわしい女性と成るのだ。
勿論その日まで、指一本、私は、お前に触れたりしないし、他の男達にも決して近づけさせたりしない。
空調のせいなのか、園長室のドアがほんの少しだけ開いている。 痛みの余り、サユリはグッとそこへ、目をやると。
ああいけない …
姉を心配した、妹のリマが着いて来てしまったのだ。
( あれだけ着いて来てはいけないと言い聞かせてあったのに … なぜ … )
サユリの視線を追った彼は、ムチを放り出して優しく
「サユリ… どうしたんだ? ドアの処に誰かいるのか?」
背中の痛みも忘れて、慌てて答える。
「リリリ … リマ… が … 」
「ああっ? 何だと? 誰だ!!ハッキリと答えろっ!!」
日向﨑氏の声が荒ぶる。
「リ… リマ … 」
「ああん……リマだぁ…?」
とっさに妹を
「 いっ…いえ!! リリ…リ… リコピン …」
「リコピン …? 誰だ… そのあだ名の様な……」
「 はっ!! あの娘かっ!!」
リコピンと言えば、あのメイドの娘じゃないか…
月二度程、ウチの学園に来てボランティア活動を続けているあの子だろう …。 こんなに遅くまで… 学園に残って何を…
ああっ!! さっき、協賛基金に参加する為に案内の封筒を取りに事務室に来ていたと…? まさか… 何を嗅ぎまくっているんだ?
「そっそうかぁ… あのガキぃぃ… ボランティアと言いながら、雑務をこなす振りをして、とうとう違法蓄財の存在を、嗅ぎ付けやがったな … !!
チィ!! 狙いは金庫の金かぁ!!」
日向﨑氏は急に焦りの色を見せて、園長室を飛び出し廊下を駆けて行った。 キュッキュッキュッと響く足音が遠ざかって行く。
やっと終わった …
彼が出て行った学園長室には、転がったままのムチと、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます