第1話 : 使命とは ( 1 )




 少女は、まるで祈りを捧げるかの様な十字の太刀筋タチスジで人狼を四つに分け、そのまま直線上の軌道キドウを進む。




 0.0 2 秒遅かった!!




 左手で獲物の女の子の手首を掴んだかと思ったが、触れた、お互いの指が離れてしまう。


 ソク、返す動作で右手に持つ聖戎具アークを女の子の胸に突き刺す!!


 背中に突き出る!!



 果物を刺し通す要領で引き寄せた。





「ガシャーン!! ガシャンガー!!」





 優秀な、のお陰で、事故にはイタらなかった。


 が、重量オーバーの為に、着地点で大きくバウンドを二度起こす。



 制御不能のブレーキに、ドリフトを試みながら屋上設備を次々に跳ね飛ばし、爆音と共に水槽タンクにへと迎えられる。



「ゴガーァァァァアアン!!!!」



 大きなヘコミの角から、水が吹き出す。


 頭上にを強いられるが、その功徳クドクもあってか、大きな怪我も無く、失踪捜索依頼があった女の子も無事確保出来た。





( ハァ!!ハァ!!ハァ!!ハァ!!ハァ!!ゴホ!!ハァ!!ハァ!!ハァ!!ハァ!!ハァ!!ハァ!!ハァ!!ゴホ!!ハァ!!ハァ!!ハァ!!ハァ!!)




 突如、車椅子の少女は、真っ青な顔で、浅く荒い呼吸を繰り返し更に、手足がシビれ、ガタガタと全身に、大きく激しい痙攣ケイレンを起こす。





 危険なだ!!





 震える手で、常に据えられている車椅子背部の、携帯酸素ボンベをで口に当てる。




 意識が遠退く …




 大波に飲まれ、海面近くで錐揉キリモみに成った、あの感覚である。








 … 死が近くにある。







 彼女にとっての″ 死 ″とは、常に命の根源に有る ″ 使 ″ を呼び覚ます。




 人に取って、各々オノオノ自身がニナ


 ″ 使命の価値 ″ によって


 ″ 生きる価値 ″ を自覚する事が


 ″ プライド ″ 。



 つまりである。





 彼女は自らにせられた宿命、


 ″ 七つの呪い ″ の克服が、己の使命と心得ている。



 苦悩たる宿命を克服する姿は、人間のさを証明する。



 だが、生き抜く為の闘い、そのものが彼女の死を招かねない。



 一見、矛盾している様だが、生と死は決して離れた別物では無い。



 むしろ、背中合わせなのだ。

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