第1話 : 走馬灯 ( 1 )




 大砲弾となって放たれた彼は、秋葉駅前中央通りを眼下にマタぎながら、背後からの強い殺気に振り返る。


 すると、車椅子の少女は直ぐそこに居るではないか。


 少女が、聖戎具アーク( 聖なる武器 )を外側に突き出し、高速で回転しながら光を放つ様を、彼はスローモーションで見ている。




 おかしい …





 回転しながらで近づく彼女の顔さえハッキリ確認出来る。




 ああそうか …



 

 昔から聞くじゃないか …




 命が終わる瞬間、目の前の情景が、ゆっくりと流れる様に見えるのだと…。



 今の俺には、ハッキリそうだと断言出来る…




 俺の″ ″とは、自らに如何イカなる困難が降りかって来ようとも、己の考えうる限り、あらゆる手段を行使し、生きて、生きて、生き抜く そのものこそが ″ ″ だ。


 仮に生きる事がナオ、死するより恐ろしい選択であっても、甘んじて世間の嘲笑チョウショウ罵倒バトウを受け容れ、万の財宝よりも尊い、この命を一日でも延ばし涅槃ネハンに入る所存だ。




 だが今、己の命が終わろうとしている …



 死は決して敗北ではない …




 死は一定イチジョウ




 生ける者は全て、死を迎える。


 仮に、もし死が敗北なら生ける者は全て、命を宿ヤドした瞬間から、敗北へとヒタ走る事となる 。




 死は厳粛ゲンシュクであり、また荘厳ソウゴンでもありたい。



 決して他人の評価で、ケガしてはならない。



 そう!! マサに死はそのものだ!!



 戦って、戦って、戦って、それでも戦って …




 ″ 死せる価値 ″を知るものだけが、


 ″ 生きる価値 ″を知り、創造しうる!!




 死は歓喜の中のなのだ!!!!



 生きる価値を初めて体得した彼は、


 ″ 命の永遠性 ″ を今、確信する!!





なのだ!!』






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