三九 中央広場上空
「永遠、おじさんッ、ガシャドクロは壷内の身体に対応しているわ!」
地上で刹那が叫んだ。
「聞いたか、朱理。なるべくダメージの大きい部位を狙うぞ」
「うん!」
朱理は視線を巡らせた、ダメージが大きいのはやはり頭蓋骨だろうか。
その隙を突くように、バラバラになった背骨が次々に向かってくる。
「裂気斬!」
悠輝は裂気斬を連発し、片っ端から背骨を真っ二つにしていく。
朱理は視線を下に向け、刹那たちの様子を覗う。
「姉さん!」
梵天丸と座敷童子は刹那を守ろうとしたのだろう、二匹ともボロボロになって横たわっている。
「ボンちゃんッ、ザッキー!
どうして効いてないのッ? 姉さんの読みが外れた?」
朱理は思わず地上に戻ろうとした。
巨大な
「裂気斬!」
骨が巨大すぎるのか、傷付けはしたが切断することは出来ず、避けきることも不可能だ。
「チッ」
朱理の
かなりの衝撃が身体を貫き、下へ向けて吹き飛ばされる。
しかし、験力がクッションとなりダメージを軽減して、吹き飛ばされる角度も変えられた。これで地上までの距離が稼げる。
何とか験力で足場を作り出し、体勢を立て直す。
「いっっっっったぁ~い! 脚が壊れちゃうッ」
「ご、ごめん! とっさだったから……」
「もうッ、一番ダメージ受けた! だから呼びたくなかったんだよ」
「本当にゴメンッ、叔父ちゃんが悪かった。とにかく今は御堂たちを助けないと」
そうだ、今は叔父とケンカをしている場合ではない。
刹那を探すと、満留がナイフを持った尊と組み合っている。
朱理は急いで助けに行こうとした。
「よせ、また阻まれるだけだ」
「じゃあ、どうすれば……」
「ガシャドクロを破壊すればダメージが行くのは間違いない。恐らく簡単に破壊できる部位は、尊に行くダメージが小さいんだ」
「なら、一番頑丈そうなところを狙えば……」
「恐らく。朱理、嫌がらずにシンクロしてくれ!」
「わかった!」
刹那たちを助けるためだ。多少、いやかなりプライベートな部分を悠輝に知られてしまっても仕方ない。
シンクロしてしまうと完全に精神を解放し、悠輝を受け入れることになる。これが遙香なら強制的にやられてしまうのだが、叔父はそれほど精神を操る技術に長けてはいない。だから朱理自身で心の壁を取払わなければならないのだ。
朱理は意を決して心を解放した。悠輝の感情や記憶が自分の中に流れ込んでくる、同様に自分の記憶と感情も叔父に伝わってしまう。だが、それと引き換えにより強力な験力を使用できる。
悠輝が朱理の視線を上に向けた。他の骨に守られるようにして頭蓋骨が浮かんでいる。
「行くぞ!」
叔父の意思に従い、朱理の身体は圧倒的な速さで髑髏へ向かって駆け上がっている。
ガシャドクロの他のパーツが、彼女の進撃を阻もうと飛んでくる。
敵の動きよりこちらの方が遥かに速い。迫り来る骨を
だが、両脚の骨が行く手を遮った。デカいのに他の部位と比べ物にならないほど素速く、連携で朱理を攻撃してくる。
「これだけ強いと言うことは、逆に壷内の念が強く込められている証拠だ。
朱理、コイツを破壊して突き進むぞ!」
「うん!」
朱理は精神を集中させ験力を引き寄せた。悠輝の験力も自分の中に注ぎ込まれているのを感じる。されに彼がイメージした巨大な焔の斧の映像が頭に浮かんだ。
「
悠輝がイメージしたよりも更に大きな焔の斧が両脚の骨に命中し、叩き折る。
「ぎゃぁああぁあああぁあああああ!」
地上から尊の悲鳴が聞こえた。
悠輝と朱理はそれを無視し、無防備になった髑髏を狙う。
二人は再び意識を集中し、実物を見た朱理は先程見た物より大きくて重そうな焔の斧をイメージした。
悠輝と共に裂帛の気合いを込めて裂焔斬と叫ぶと、焔の斧が命中し、ガシャドクロの頭蓋骨は
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