書店

 カクヨムの読者・作者様方ならきっと気になる: 書店。

 

 悲しいかな、アメリカでは実店舗の書店が非常に少ないです。無いと言っても過言ではないです。


 いえ、無いわけではないのですね。

 日本だと駅ごとに、商業地ごとに必ず本屋があるじゃないですか? そして、通勤通学途中にふと本屋に寄る。うまくいけば、勤務地と、乗換駅と、自分の降りる駅にそれぞれ書店があったりして。

 そこで新刊をチェックし、雑誌をチェックし、お気に入りの続刊を購入し、新しい発見をし、本に囲まれる幸せ成分を補給する。


 あぁ、これ書いてて昔のことを思い出しました。昔はよく途中駅で降りて大型書店をはしごしてました。梅田(旭屋&紀伊國屋)、難波(旭屋&ジュンク堂&日本橋&古書店街-今はもう無い)、天王寺(旭屋-もう無い)、天牛堺書店(今はもう無い)たち。それぞれ店舗によって在庫の種類に違いがあったんですよね。なので、読みたい本の種類によって行く書店を変えてたのですが……。しかしこうしてみると結構無くなっているな……。

 学生時代は、京都。本屋だらけで天国でした。しかもさすが古都&大学の街。専門書を扱う本屋がたくさんで幸せな街ですね。

 関西ローカルな話題ですみません。

 

 というような、そういう本屋巡りが当然という生活リズムの状態でアメリカに来ると「本屋がないーー!」と叫びたくなります。ムンクの例の絵の表情を練習するにはもってこいな状況です。

 

 もし私が異世界に転移させられた場合の最大の問題は、本が無いこととコンピューターが無いことでしょう。生きてゆけません。

 でも、未来の高度科学技術の発展した異世界なら大歓迎です。

 または、魔法が使えて魔導書の書店がある(そして買える身分での転移・転生)世界ならもっと大歓迎です。


 

 ……さて、現実の話をしましょう。

 住んでいる地域に大きなモール(ショッピングセンターのこと)があれば、そこに書店があるかもしれない、あればラッキー、という感じでしょうか。


 もっとも、ある程度の都市圏に住んでいれば、車で30分~1時間の距離には大体大きなモールがある、もしくはダウンタウン(街の中心)まで行けるので、一応書店にはたどり着けるでしょう。


 ちなみに、私が住んでいるような主要都市圏の郊外の場合「車で30分」というと、時速60マイル(100km/h)で半分の時間の15分ハイウェイを走る、つまり、おおよそ半径25km圏という意味です。

 道路網・ハイウェイ網が発達しているので、平均的にその速度で移動できるし、それくらいは普通の活動範囲になります。


 なお、半径25km圏内というとどのくらいの範囲を想像しますか?

 関東圏では、例えば、皇居を中心として、東は船橋、北は埼玉、南は横浜、西は多摩、というような範囲です。

 関西だと、大阪城を中心として、南は河内長野、西は神戸、北は高槻、東は奈良市、それくらいの範囲です。

 グーグルマップで「距離を測定」ツール(右クリックするとあります)をつかって、大体の範囲を調べると面白いですよ。

 

 思いついたら、そういう範囲内でちょっとした買い物のために車でさっと移動する。そういう生活です。

 いかに広いかということが分かるかと思います。


 

 ……はい、そうです。車がないと生きてゆけません。

 電車、というのもはばかれる「ライトレール」、いわゆる路面電車がある都市がないわけではありません。ポートランドはそれが存在する例です。でもそれは路線しかありません。その沿線に住むのは難しいので、といえます。

 一応路線バスもそれなりに整っていますが、なにせ広いので限定的です。日本の田舎でのバス事情と同じ感じですね。一日に朝夕2本とか? もちろん場所によりますが。

 

 ただ大きく違う点は、日本と違って広いので、かわりに歩いてなんてことはまず不可能です。常に数キロを軽々と歩けるという体力と脚力があるのなら別ですが。



 さて、現在唯一の大手書店は、「バーンズ&ノーブル(Barnes & Noble=B&N)」というチェーン店になります。数年前に「ボーダーズ(Borders)」が閉鎖して以来、実店舗の書店は減少の一途をたどっています。

 自分が住んでいる場所のすぐ近くにあったボーダーズが閉鎖したときはそれはもうショックでした。


 アメリカの書店は、昔からカフェを併設していて、買う前の本を、コーヒーを飲みながら自由に読めます。日本の書店でも一部この形態で展開しているのですよね? なので、お茶しについでに本を探すということも可能です。

 

 もし、住んでいる地域に大きな大学があれば、大学の付属の書店が便利です。専門書も豊富に置いてあります。日本でいうと「丸善書店」の感覚でしょうか。

 シアトルだとワシントン大学の書店が大きいですね。

 ポートランドは大きい大学がないので悲しいですね。


 また、その地域に古くからあり頑張っている地元書店もあります。ポートランドダウンタウン(オレゴン州)にある「パウエルズ(Powell's Books)」は有名で、一区画がまるごとビルで、4階まである巨大書店です。この店は新刊・古本、両方を扱っています。大阪の今は無き天牛堺書店を20倍くらいにした感覚でしょうか。

 アメリカでは非常に珍しい形態ですが、日本ではビル一つ書店は当たり前にあるので、日本人には驚きは少ないでしょう。


 小さなチェーン書店、個人で開いている書店も一応まだ少し残っています。

 そういう店は、古本やレア本を扱っていたり、地域密着ファミリー向けだったりと、いろいろ工夫しているようです。

 シアトルでは古本の店「Half Price Books」が有名でしょうか。


 

 ただ、書店は実際の本を見られるので便利ですが、実際に新刊を買うとなると、ほとんどの人はアマゾンで買います。なぜかというと、店舗では定価だからです。アマゾンの方が常に2~3割くらい安いとなると、店舗で買うのが馬鹿らしくなるのです。そして、そもそも本屋が少ないからアマゾンで買うのが普通。こうしてどんどん店舗がなくなっていくという悪夢です。

 

 B&Nではメンバーになると割引があるので、私はそれを利用してたまに書店で買います。あと、「バーゲンブックス」といって、安売りの大型本は激安で買える(半額とか。この場合アマゾンより安い)ので、資料用の図鑑などはそうやってやすく手に入ります。


 そういえば、最近のB&Nはおもちゃ屋の様相を呈してきました。本だけだと生きていけないのでしょう。子供向けおもちゃ製品をたくさん置くようになっていますね。ただ、これは、おもちゃ屋がないせいもあるかもしれません。大手の「Toys"R"Us(トイザらス)」が潰れたせいですね。これは別エピソードで。

 

 

 あと、日本の文庫本・新書サイズの本は、さすが小型製品に強い日本製品ならではのサイズです。

 アメリカには文庫や新書サイズの本(というかそんな概念は)ありません。

 ペーパーバックというもので大体 B6版位の一回り大きいくらいのサイズ、ハードカバー(表紙が固い本)は卓上国語辞典の二回りくらい大きいサイズがざらにあります。というか、サイズに統一感もありません。未だに国際単位系を使わない国ですから。デザインにも統一はありません。他人に合わせるなんて概念は全くありません。

 紙質もあまり良くないです。そのせいだと思いますが、だいたい分厚いです。

 本も大きいのです。(これは、アメリカ人の体格も関係するかもしれません。それは別エピソードで)


 実店舗が無くなる流れに逆行するのが、アマゾンの実店舗。試験的にいくつかオープンしています。店には本が並んでいるのですが、価格ラベルが付いていません。その時のアマゾンのサイトでチェックした価格で売っているのです。まさに、時価で魚を売るような……?



 さて、日本人ならではの問題、日本の本をどうやって買うか。

 なんと、紀伊國屋書店があるのです! シアトルならダウンタウンに、ポートランドだと、隣町のビーバートン市、いずれも日本食材スーパーの「ウワジマヤ」店内にあります。

 なお、この春にポートランドのダウンタウンに新しく紀伊國屋の店舗が開くらしいです。待ちきれません!


 ただ、それほど店舗が広いというわけではないので、置いてある本は限られます。一応日本で流行っている本はおいてある感じでしょうか? あと、駐在家族向けの子供向けの本。そして漫画ですね。

 ただ、昔は「日本語の本」がおいてあったのが、最近どんどん「英語の日本の本」、つまり、日本の本の英訳本が増えてきたので、日本語の本のスペースが減ってきているのが悲しいです。まあ、現地アメリカ人に売れないと店がやっていけないのかもしれませんね。

 

 アメリカ人にも日本漫画の熱狂なファンがいて、それが増加しているのか、最近はB&Nでも日本の漫画の英訳版、こちらでは「ヴィジュアル・ノベル」と呼ばれていて、すごく増えました。それまでは基本的にコミックといえばマーヴェルの本ばかりだったのが、その倍くらいの売り場面積を占めるようになりました。


 私は日本の書籍を買う時は、最近は、ほとんど日本のアマゾンでのKindle本のみです。電子書籍がかなり増えたからです。

 紙本だと送料が高い! 紀伊国屋も送料を込めた価格になっているので5割増しくらいの価格になってるし。電子書籍だと送料がないし即読めるし。

 なので、日本の出版社さん、電子書籍も同時発売よろしくお願いします!

 海外在住日本人、約135万人(2017年度。外務省の海外在留邦人数調査統計より)の市場です!

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