魔王の慢心
「はあ、退屈だ」
魔王は復活してから力を元に戻すため大きな行動をせず、身を潜めていた。そのため闘うこともできず暇を持て余していた。
「魔王様、報告があります」
「ん?何かあったのですか?」
「はい、人間がここに向かっているようです」
「あの人間がまだ残っていたの?」
「いえ、その時の者とは違う人間たちです」
「ということはついに私が復活したことが勘付かれたってこと?」
「いえ、まだ確証はないみたいですが、復活はほぼ確信はしてるようです」
「なるほど。でもその人間もこの城に来る勇気はないでしょうから、何もする必要はないですよ」
「いえ、どうならこの城に入ってくるようです」
「ほう?この城に入ってくるなら話は別ですね。この私がもてなしてあげないと」
魔王は人間たちに変に姿を見せて逃げられるのは嫌だったため、こちらから仕掛けるということはなかった。でも城まで入ってくるなら話は別。城にさえ入って来ればいくらでも閉じ込めることは容易い。そうすれば、こちらの情報が人間に漏れることもない。
それに退屈だったため、それを紛らそうとも考えた。
「魔王様自らが赴くのですか?!」
「ええ、この城に入って来たからには帰すわけにはいけませんから。退屈しのぎにもてなしてあげますよ」
「ですが、万が一があっては——」
「人間が私より強いなんてことはありませんからすぐに終わらせますよ。それと人間がこの城へ入って来られるようにお願いしますね」
「…はい、わかりました」
少し納得していないようだったが、魔王は気にすることなく、城の入り口の大きなホールで人間が来るのを待っていた。
そこでしばらく待っていると人間が入ってきた。
(へぇ、女2人に男1人か。それにしても女が先頭で入ってくるなんてね。まあ、レベルの確認でもしますか)
魔王は人間が入ってくると同時に姿を表し、人間たち向かって行った。人間たちに魔王の姿を見せると顔を青ざめて恐怖しているのが魔王からでもわかった。
近づく間に人間たちのレベルをスキルを使って調べた。
(ほう?人間の女にしては頑張ってるわね。若い割には2人とももうレベルが1万に迫っているなんてね。人間はスキル主義でレベルを疎かにする者が大半なのに。前に来ていた人間なんてレベル5千も行ってなかったのに)
更に近づくと人間たちは魔王の殺気にやられて立っているのもやっとの状態であった。
(それで後ろに隠れている男はどうかな?)
そう思い、その男のレベルも調べた。
「は?」
しかし、その男のレベルを見て魔王困惑した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます