第63話 異変 2

 何か先程からレイの様子がおかしく、少し怖い。


 エクスと話しているとき、急に顔を輝かせたと思えば、今度は何かに気づき顔を暗くし、頭を抱えては何かを後悔しているようで感情の起伏が激しくなっていた。


 そんな感情が不安定な状態で危なっかしいくせに、戦闘になると急に冷静になって魔物に怒りをぶつけるように好戦的になったり、少しおかしくなっていた。


 しかし、おかしいのはレイだけではなかった。


「そう言えば、最近また魔物たちの動きがおかしくなってるよな」


「そうだね。普段依頼対象にならないような魔物の依頼も増えてるしね」


 普段人里に来ないような魔物や人間に害を与えないような魔物、また今まで見たことも聞いたこともないような魔物を対象とした依頼も増えていた。


 少し前までは人に害を与える魔物が強くなったり、また多く出没するようになったりするぐらいで考えられる範囲の異常しか起きていなかった。


 しかし、今回の異常は明らかにおかしかった。そのため各ギルドでの対応が変わっていた。


 普段討伐のない魔物はまだ正しくランクが決まってないこともあり、エレメシアスでは新しい魔物等の依頼は受けないことにしていた。


 そもそもレイとエクスくらいしか高ランクの依頼はできないため、高ランクの依頼自体エレメシアスには少なかったからほとんど関係はなかった。


「そう。だから普段無視している魔物にも警戒するのを怠るなよ」


「大丈夫よ。そもそもそんな魔物と遭遇なんてしないでしょ」



 そんなこと言わなければ良いのに言ってしまったため、フラグとなり、その後ほとんど遭遇するのが普段人を襲わない魔物ばかりになり、対処が難しくなった。


「レイが変なこと言ったせいで、さっきから普段害のない魔物ばかりから襲われてじゃないか!」


「私が言ってなくてもどうせ襲われてたよ!私のせいにするんじゃないよ!」


 エクスは初めての魔物でも苦労することなく倒していった。


 ここでもレイの負けず嫌いが発動し、簡単に魔物を倒していくエクスに対抗し、レイも倒そうとしたが、何度か返り討ちにあったりなどし、負傷していた。負傷してもレイは魔物に向かって行っていたが、エクスはそれを止め、代わりに魔物を倒した。


 レイはエクスに文句を言っていたが、エクスはそれを気にせず、聞き流していた。

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