第34話 討伐依頼 5
あまりに簡単に倒せてしまったことで、エクスは少しの間動きが止まってしまった。しかし、それは相手のゴブリン達も同じようで、その体の大きいゴブリンが倒されると思ってなかったようで、エクスと同じように動きが止まった。
「まだ、戦闘は終わってないよ!」
「はっ」
エクスはエーシェの言葉で我に帰り、ゴブリン達をまた狩り始めた。
しかし、それからは簡単であった。
あの体の大きいゴブリンが倒されてから、ゴブリン達の動きが鈍くなり、簡単に倒すことができるようになった。
気づけば、ゴブリンが増えて来るのも止まり、その空間には生きているゴブリンがいなくなった。
「終わったの?」
「そうだな」
エクスとエーシェは安心したのか、その場に座り込んだ。
「あっ!ルクセンは?!」
エーシェはそう思い出したように叫んだ。エーシェの叫びでエクスもルクセンが怪我をしているのを思い出した。2人は慌ててルクセンの方に近寄って行った。
「おい!ルクセン大丈夫か!?」
ルクセンはあの大きいゴブリンに吹き飛ばされてから、手当てなどせずそのまま放置していたため、無事か不安になった。
「ぅぅ」
ルクセンは気を失っているようだったが、まだ息はしていたため、少し安心した。
ゴブリンの死体を処理する余裕はなく、ルクセンの手当てだけして、エクスがルクセンを背負って、その洞窟を出て行った。
ギルドに帰るとアシルとナティから怒られた。
ルクセンはすぐに治療を受けた。骨折などはしていたが、命に関わるような怪我はしてなかった。
「お前ら、なんで依頼以上のことをしようとしたんだ?依頼は調査だったよな?なんで巣に入ったんだ?入る必要はなかったよな?」
「「はい、すみません」」
アシルがいつものような口調で話してくるため、怒鳴られるよりも怖かった。そのため、エクスもエーシェも小さくなりながら、謝ることしかできなかった。
「謝れとは言ってないだろ?なんで依頼にないことをしたか聞いているんだよ?」
「それは、全員がゴブリンを、簡単に倒せたから、ゴブリンの巣も、行けると思って」
エクスはアシルに怯えながら、言葉に詰まりながらもそう答えた。
「ほう?じゃあ、なんでルクセンが大怪我したんだ?」
「それは、油断したからだと」
「はあ、エクス。お前はこの3人の中で一番強いから問題ないかもしれないけど、もう少し他の2人の実力も理解した方が良い。その証拠に、ルクセンは大怪我、エーシェも切り傷や打撲が所々あるが、エクス、お前はほぼ無傷だろ?1人だけどんなに強くても仲間が怪我をしたら、意味がないだろ」
「はい…」
エクスはアシルの言葉を素直に受け取った。
「エクスだけじゃないぞ。エーシェもルクセンもだ。仲間が強いからと言って自分が怪我をしないわけじゃない。特にエクスは肉体を使ったことしかできないから、他の人も守るなんてことは苦手だ。強いからと言って、安心してはダメだ」
「はい、わかりました」
エーシェも素直にそう言った。ルクセンは寝ているため、この場には居なかった。
「しばらくは3人とも知識を身につけるところからだな」
アシルがそう言ったところで説教は終わった。
ちなみにルクセンやエーシェの治療でそこそこのお金を使ってしまったため、その日からギルドではまた貧しい食事に戻った。
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