実を結ばぬ花と知りながらも。

作者 ザワークラウト

主人公がテロリストという奇抜な作品。

  • ★★★ Excellent!!!

一般的な小説、それこそ戦記物では一介の軍人である主人公の葛藤、戦場での無力さを描写しますがこの小説は違う。

まず最初にこれから読むであろう読者に知っていて欲しい事は、“主人公は正義では無い”という事。

いや、軍隊物なら当然だろう、命のやり取りをしているんだからと思った貴方。そんな生易しいストーリーではありません。

最初こそ主人公は従軍者のように描写され、読者もそうだと思い込んで読み始めます。
異能力が出てきますが、それはまぁご愛敬。ただ、ここら辺でハードな戦記物を求める人は脱落するでしょうね。


そして日常パートへと移っていく訳ですが……とても衝撃的な出来事が起きます。

ネタバレになる為言えませんが、此処はもう、作者の趣味趣向と言っても過言ではないでしょう。
私は王道が好きなので嫌いだし、全力否定するしかありません。
だがしかし、破滅願望や破壊願望を持っている一部の狂信的な方は好きになる事間違いなし。

……正しいだけでは人は生きていけぬ。
それでもと使い潰される人間が居れば、他人の肉を喰らい、血を啜って己が繁栄を目指す人も居る。
そういう悪い人間を殺す行為のみを抜き取れば、それは確かに正義であろう。
しかし、殺した者が育み、養う人間もまたそこに居る。つまり、人を殺す先に待ち受けるのは悪と悪の対峙のみ。
主人公達はそう言った物事に一切の躊躇いが無く、同時に家族以外への慈悲はこれ一つとして持ち合わせていない。
ならばすべき事はただ一つ。我らがこの国の覇者となるのが正道。
我らが組織がこの国を治めるに相応しいのだ。

……そうして、血で血を洗う凄惨な内戦は続いていくのです。

もう一度言います。これから読み始める方はまず、「主人公がまともである」という思考を捨ててから読み始めて下さい。
この作品の内容は個人の事情として否定しますが、文章的にとても素晴らしい作品です。
是非、拝読してみては如何でしょうか。では。

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