実を結ばぬ花と知りながらも。

作者 ザワークラウト

81

34人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

物語の舞台は1998年だ。
ノストラダムスが予言した世界の滅亡への恐怖に、日本全体が包まれていた頃である。
結局、我々の世界に恐怖の大魔王はやって来なかったが、この作品では2人の大魔王が恐怖を撒き散らす。
これがどんな話かと言えば、主人公のアリーフとその兄ジェスタフによる「大暴れ」だ。
彼らの行動はというと、ひと言でいえばやりたい放題。
人の命の上を歩くように生き、淡々と首を落とし、頭を撃ち抜き、街を燃やしていく。
これがただの外道ならば許せなかったのだが、恐ろしいことにこの外道どもの兄弟愛はあまりにも魅力的なのだ。
兄は弟を愛し、弟は兄を慕っている…その関係が憎めない。
「銃剣と薙刀」まで読み進めると、地獄絵図を描き眺め笑う、非道で奔放な彼らの生き様が癖になってくる。
不幸を知る人にこそぜひ読んでほしい。
さらに深い泥沼へ突き落とされるはずだ。

★★★ Excellent!!!

 これは本当に人を選ぶ作品だと思いました。自分の好みにうまく合えばこれ以上の作品を見付けるのはなかなかに難しいでしょうし、合わなければ2、3話くらいでタブを閉じるくらいには。
 とにかくキャラクターのクセが強い。主人公のアリーフの時点でコンプレックスをたっぷりと抱え、どこか病的だったり子供じみたところがあったりと濃いキャラクターをしているのですが、他の登場人物もそれぞれが主人公になれるんじゃないかというレベルでキャラの濃さとクセの強さを併せ持っています。
 ストーリーについても、これまた人を選ぶと言っておきましょう。短めにまとめるとダークでたまにグロテスク、しかもダークな時とそうでない時の落差が激しい。世界観そのものはそこまでダークなものではなく、時にくすっとさせられるところもあるのですが、主人公(と、人間の屑としか言いようのないその兄)が絡むと途端に話がアングラで暗い方向に向かいます。戦場においては主人公たちがなんの容赦もなく当然のように人を殺しますし、日常パートでも人間の命がふとした瞬間にあっさりと失われ、現実で外道と呼ばれる人間ですらほとんどが嫌悪感を示すほどの最低なことが行われます(流石にこれは大半が主人公の兄の行動ですが)。
 このようにクセは相当に強いですが、その分好みに合えば本当に最高の作品です。とりあえず読んでみることをおすすめさせていただきます。

★★★ Excellent!!!

 ツイッターで見つけたこの作品は★の数がイマイチだったので軽く触りだけ流し読むつもりだったのですが、休日を返上して思わず今出ている全話を読み終えてしまいました。まったくとんだ掘り出し物を見つけてしまいました。
 ただ★が少ないように人を選ぶ作品ではあります。ザワークラウトさんの細部まで細かく描写する丁寧な表現で書かれたグロテスクな描写が作中で幾つもあり、またそれらの多くがテロリストである主人公達による所業だというのが主な理由でしょうか。しかし、彼らなりの美学や信念があるとはいえ主人公サイドに外道が多いのも魅力の一つです。ただ主人公アリーフの兄ジェスタルはもはや人間の屑としか思えないですが。
 そして何より主人公アリーフがとても蠱惑的でかわいいのが自分がこの作品にはまった原因です。20歳の兵士アリーフの容姿については序盤で書かれているので詳しくは書きませんが、敵や不快な存在に対しては容赦がない一方で内面は繊細で優しく悪に憧れてるけど同時に恐れも感じているというピュアで傷つきやすい年頃の青年という面も強調されており、二重人格じみた不気味な存在でありながら妙に感情移入しやすい親近感があるキャラクターとなっています。ガールフレンドがいるのですが彼女に向ける愛がどこか不器用なのもかわいかったです。
 まだまだ始まったばかりでこれからの展開が気になるところですが、いずれは書籍化してイラストがつけられたらいいなと思います。皆さんも騙されたと思ってぜひ一度クリックしてみてください!

★★ Very Good!!

最初は殺された軍人二人が主人公か……んん?と思っていましたが、序盤からまさかのアッと言わされました。……感服。
私も軍事系はとても好きなジャンルで書いていたりもするのですが、ここまで文章力のある小説はあまり見た事がないです。
まるで〜の文章が少し多めかなと感じましたが、それがまた個性的で惹かれてしまう。
いやはや全く、軍事というものはとても面白いものだ。「戦場」という一つの空間の中でキャラの濃さを目立たせず、如何にして小説を成り立たせるか……軍事は、それがとても難しいジャンルなのだから。

★★★ Excellent!!!

登場人物の描写が細かく、いろいろ想像せずに物語に専念できます。艶かしいほどの表現をされるので、別の意味で想像が捗りました…!(笑)登場人物の描写は、姿だけではありません。仕草、声、全てです。もう、最高です。

かといって、背景を疎かにしているわけでもなく。何ひとつ読者を置き去りにすることなくストーリーを展開させてくれるのも、安心して読み込める要素なのかな?と読んでいて思いました。

いつもは1日あれば読めるのですが、この作品はゆっくり読みたくて少し時間をかけて拝見しました。とても幸せな3日間でした。続きも楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

 初めて読んでみた印象は、この人は話よ書くのがうまいと感じられました。
よく読ませてもらう野良の人たちの中でもトップクラスの良作品です。
背景に対する描写や行動の表現はすぐに想像ができのめりやすいことが大きな評価点となっています。
 それ加えて、キャラクターがどんな声の雰囲気を出したのがとても分かりやすい
だからこそセリフのご認識が少なく読めるここも評価が高いです。

個人的には挿絵とかあったらもっと魅力になるのかなと思いました。
このレベルなら挿絵あってもほぼほぼ問題ないと思いますね。

あとは運よく編集者に捕まえてもらうことが出来れば感はあります。

★★ Very Good!!

小説の題材や設定、キャラたちの軽口など読んでて非常に小気味良いテンポで物語が展開されております。
ひとまず第1章の5話まで読ませて頂きました。なぜ彼らが能力を手に入れたのか、どうして能力に適応できたのか……。物語を読み進め、謎が深まるほど、この作品は味を出してくるように思えました。

Good!

 軽く読むには重い題材、重厚なテーマに対し、自然と頭に入ってくる軽快なテンポ…それら相反する要素が、巧く組み合わさり、バランスが取られているように感じられました。

 戦争の事にしても感情の事にしても、そのバランスがあるからこそ読者と登場人物との感覚が一致し、物語に入り込めると思います。

 そして、ふと思う「美しい」の反義語は何か?

 醜い、汚いがすぐに浮かびますが、それらは「美しい」が先に、根底にあるからこそ感じるものであり、反対の言葉ではないと言う事が、読んでいて思い浮かべました。

 醜い感情も汚い行動もありますが、しかし登場人物は、物語は美しいのだ、と。

 一般文芸を標榜する著者の言葉、確かにそうです。純文学的な何かを感じます。

★★ Very Good!!

基本的にシリアスですが、キャラクターの掛け合いの中にはクスッとくるものもあってバランスが取れていると思います。丁寧な描写、世界観やキャラクターの設定がよく練られていて、女の子はあんまり出ませんがガッチリした小説を読みたい時などにオススメです。