第22話 職業:奴隷商人見習い

◇ ◇ ◇


夜。俺は眠りにつくと同時に、ジュリオの元へと向かった。

ヘルム国はいつも昼で、現実とは昼夜逆転しているようだった。


「こんにちは」

「ユーヤ様、いらっしゃいませ。ジュリオ様、ユーヤ様がいらっしゃいました」


「おや、勇也さん。いらっしゃいませ。今日はどんなご用で?」

「あの、あれからいろいろ考えたんですが、やっぱり俺をここで働かせていただけませんか?」


「ご決断されたのですね。もちろん大歓迎です」

「ありがとうございます! これからよろしくお願いします!」


「ではまず、このヘルム社についてご説明しますね。それで納得いただけるようでしたら、正式に契約という形にしましょう」

「はい!」


「まず、勇也さんはこの会社についてどの程度ご存知なのでしょう?」

「……ええと、すみません。ぶっちゃけると、あの『奴隷救出プロジェクト』というサイトがあること、そこで奴隷を購入するとアタッシュケースとともに奴隷が届くこと、あとはジュリオさんにご紹介いただいたことくらいしか分かりません」


「ちなみにご購入くださった奴隷、というのは、有料でしたか?」

「いえ、無料です」

「ふむ、なるほど……」


ジュリオは何やら考えている。

当然だ。本来ならば、俺はその奴隷に殺されているはずなのだ。


「ああ、ええと、実は購入して少し経ったころ、奴隷に殺されかけまして。慌ててお仕置きカードを使用して回避した、という経緯があります。その時に相当厳しく罰したのでそれが効いたのか、それ以降は大人しくしています」

「なるほど。勇也さんにこんなことを申し上げるのもなんですが、そうなんです。無料の奴隷は、実は人間を暗殺するための派遣用奴隷です。まあ、タダより高いものはない、と言いますでしょう?」


そんなあっさり認めるのか。

ドヤ顔で言ってるけど、それ立派な犯罪だぞ。


「実は、この国は深刻なエネルギー不足でしてね。それを解消しなければ、世界が崩壊してしまうのですよ」

「世界が崩壊する、というのはどういうことです? ジュリオさんは奴隷商人ですよね? 失礼ですが、1人の奴隷商人が背負う規模のことではないように思いますが」


「私もうまく説明できないのですが、どうやらそれが私の使命のようなんですよ。まあでも、そういう難しいことはもう少し先になってからでいいですよ。今はとりあえず、奴隷たちの扱いに慣れていただきたい」

「分かりました。何をすればいいでしょうか?」


「こちらについてきてください。クロ、店は頼みましたよ」

「はい、かしこまりました」


ジュリオは、以前見学の時に使ったエレベーターとは別のエレベーターを使い、俺を「教育施設」と書かれた階へと案内した。


「クロ1人置いてきて、クロは逃げないんですか?」

「逃げる? クロは優秀な奴隷ですからね。そんな馬鹿なことはしないですよ。まあ、逃げようとして逃げられるほど甘い管理はしていませんので、心配無用です」


なるほど、セキュリティは万全ってことか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます