第21話 成績で引き離された姉妹

「え、ちょ、ど、どうしたんだ?」

「い、いえ……その、私だけこんなに良い思いをしてしまって、なんだか妹に申し訳なくて……。ごめんなさい」


「……妹、無事だといいな」

「……はい」


「俺も何ができるか分からないけど、できることはするつもりだから。だからあまり思い詰めるなよ。おまえは何も悪くない被害者なんだぞ」

「……ありがとうございます。でも私がもっと優秀な奴隷だったら、妹は人質になることなんてなかったかもしれません」


シロによると、シロと妹が引き離されたのは、3年ほど前らしい。

シロは両親とは会ったことがなく、生きているのか死んでいるのか、どんな人なのかも分からないそうだ。

つまり、妹が唯一の家族ということだ。


「私、ほかの奴隷より成績が悪かったんです」

「成績?」

「あそこでは奴隷を競わせるイベントが定期的に開催されていて、それの成績が悪い奴隷はいろいろな罰を受けます。妹とは、私の成績が悪かったので、罰として引き離されたんです。会いたければ言う通りにしろ、と言われてこれまで頑張ってきましたが、3年間一度も会えていません」


「競わせるイベントってなんだ? テストみたいなもんなのか?」

「テスト、というよりは、賭け事のようなものです。お客様に指名された奴隷数名が集められて、同じ苦痛を与えられて、どの奴隷が最後まで気絶せずに残れるか競う、みたいなものです」


……なんだよそれ。

シロはそんなのに参加させられて、気絶するまで苦しめられて、結果唯一の家族である妹と引き離されたということか?

そしてもう、3年以上も会えていない、と。


奴隷の売買なんてやってる時点でろくでもないとは思っていたが、現実は思った以上にひどかった。

もしかしたらジュリオも不眠か何かで苦しんでいて、それが夢に反映されているのでは?なんて甘いことを考えていたが、そんなゆるい状況ではないようだ。


「シロ、大変な目に遭ってきたんだな。辛かっただろ」

「……でもジュリオ様がいなければ、私1人では服を買うことも、食べていくこともできませんでしたので」

「そんなのは、本来おまえみたいな子どもが考えることじゃないんだ」


服だって、薄いTシャツ1枚だったじゃないか。

それに食べ物だって、シロの反応から察するに、ろくなものを食べていなかったはずだ。


あんな夢の世界、さっさと潰してしまいたい。

しかしそうなった場合、あそこにいた奴隷たちは? 罪のない人間たちは?

1人の人間に世界を救うことができないように、あいつらを全員救うなんて、そんなこと俺にはできない。


でも、どうしてもシロを救いたい。

できることなら、シロの妹も救ってやりたい。

人類の睡眠云々を解決するなんて、そんな途方もないこと俺にできるわけがない。

そうなると、やっぱりあの夢の世界をどうにかするしか……。


……これは長丁場になりそうだな。

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