第19話 シロとの初デート

◇ ◇ ◇


ピピピピッ! ピピピピッ! ピピピピッ! ピピピピッ…


目が覚める。

部屋には、炊き立てのご飯の良い香りが漂っている。

シロが来てから、これが俺の日常になった。


「おはよう、シロ。今日の朝ごはんは何かな」

「おはようございます、ユーヤ様。今日はソーセージを焼いてスクランブルエッグを作ってみました」


テーブルには、炊き立てご飯と味噌汁、スクランブルエッグとソーセージ、サラダが準備されていた。


「おー、うまそう! いつもありがとな」

「い、いえ、そんな。私こそ、毎食ご一緒させていただいてしまい恐縮です」


照れてもじもじしているシロも可愛い。今日もうちは平和だな。


「いただきます」

「いただきます」


「このスクランブルエッグうまいな!」

「牛乳とマヨネーズを加えるとふわとろになる、ってあったので、作り方を変えてみたんです」

「みそ汁もうまい!!」

「今日は具だくさんにしてみました」


シロは幸せそうに、そして少し照れながらそう説明してくれた。

ああ、こんな可愛い子が俺のために頑張ってくれるなんて、俺の言葉でこんなに嬉しそうにしてくれるなんて、もうこのまま死んでもいいです神様ありがとう……


シロのためにも、俺もやることをやらなければ。


「なあシロ」

「はい」


「俺さ、ジュリオの、あのヘルム株式会社で働いてみようかと思うんだ」

「……そう、なんですか」


「なんというかその……おまえの妹のこととか、調べたいことがたくさんあってさ。今のところジュリオにも信用されてるっぽいし、潜入するのが一番手っ取り早いかなーと思うんだ」

「…………」


「……おまえが嫌じゃなければ、だけど」

「嫌、ではないです。ただ……」

「ただ?」

「……いえ、なんでもありません」


なんだろう?

何か問題があるのだろうか?


シロはうつむき、黙り込んでしまった。


「……まあとにかく、ほかにも知りたいことだらけだしさ」

「……はい。分かりました。気をつけてくださいね」


◇ ◇ ◇


朝食のあと、俺は本屋で睡眠に関する本を探すことにした。


「おまえも行くか?」

「えっ? い、いいんですか?」

「もちろん。あれだ、デートってやつだ」

「で、でーと?」


そういや、こいつと一緒に出掛けたことってなかったな。

外に出て新しいものに触れれば、少しは気も紛れるかもしれない。



外に出ると、むわっとした暑さと夏の匂いに包まれる。

今日は快晴だ。


シロは不安なのか、俺のすぐうしろにくっついて歩いている。


「そういやおまえ、電車とか乗ったことあるの?」

「で、でんしゃ、ですか? いえ、ないです……」


シロにはいろいろなものが目新しく映っているようで、まるで幼い子どものようにキョロキョロと周囲を見回している。


駅に着き、シロの分の切符を買って手渡す。


「これをここに通して、ここと通るんだ」

「……? ユーヤ様の分は必要ないのですか?」

「俺はこれで通るから大丈夫だよ」


俺はSuicaを見せ、先に通ってシロを待つ。

シロも恐る恐るではあったがどうにか改札を通り、無事2人で電車に乗ることに成功した。


向かう先は、池袋だ。


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