第6話 シロの任務と、お仕置きカード

シロが来て2週間ほど経ったある夜。

いつものように、2人でベッドで寝ていた。のだが。

ふと体に重みを感じて。目が覚めた。


「……んん?」


目を開けると、そこにはシロの顔があった。

ちなみに俺は、仰向けで寝るタイプだ。


つまり、目が覚めたらシロが馬乗りになっていたのだ。

そして手には、ナイフを握っていた。


「うお! え、何これどういう状況? 俺死ぬの?」


いやいやいやいや。俺はまだ死にたくない。

俺はシロの手を慌てて抑え、どうにか自分の体がナイフで貫かれる状況を回避した。


「は、離してください!」

「いやいや何言ってんだ? おまえ今、俺のこと殺そうとしたよな?」


どうにか落ち着かせようとするが、シロは暴れるのをやめてくれない。

手にはナイフが握られたままだ。

このままでは、大惨事になりかねない。


俺は万が一の時のためにと枕の下に隠していた数枚の「お仕置きカード」の中から適当に1枚取り、シロに押し付ける。


というかこのカード、使い方聞いてねえええええ!!!


しかし発動方法はこれでよかったらしい。


「きゃあああああああああああ」


何がどうなったのか分からないが、シロに電流のようなものがまとわりつき、シロは悲鳴とともに気絶してしまった。


なるほど、電気か。

……触手とかじゃなくてよかった。


……いや、よかったのか?

なんかすごい光ってたぞ? 死んでない、よな?


恐る恐る確認すると、シロは無事生きていた。

不思議と目立った外傷もない。


とりあえずシロからナイフを取り上げ、電気をつけ、アタッシュケースから手枷と足枷を出してシロを拘束した。



「……ん、うう」


数分後、シロは目を覚ました。

まだ体が痛むようで、苦痛に顔をしかめ小さく呻く。


「シロ、大丈夫か?」


しかし、俺を認識し状況を思い出したのか、はっとして逃げようとする。

が、枷で手足を拘束されているのでまともに動けない。


「暴れても無駄だぞ。おまえみたいな子どもが、大学生の俺に勝てるわけないだろ。諦めろ」


我ながら、これだけ聞くと下衆の極みのようなセリフだ。

罪悪感がないわけではないが、背に腹は代えられない。


「…………」


シロもこの状況では逃げられないと観念したのか、大人しくなった。


「なあシロ、おまえ何でこんなことしたんだ?」

「…………」


シロは黙ったままうつむいている。


「……お仕置きカード」


俺がぼそっとつぶやくと、シロはびくっと身体を強張らせる。


手荒な真似はしたくないが、状況が状況だ。

でも、こんな夢から飛び出してきた謎の少女を追い出すわけにもいかない。

シロには頼れる人もいないはずだ。

俺が連れてきてしまったようなものだし、できればここは話を聞く方向でいきたい。


「シロ、頼むから話してくれよ。事情があるなら一緒に考えるからさ。それともこの2週間一緒に暮らしたのは、ただ俺を殺すためだったのか?」


きっと何か理由があるはず。そう思いたいという一心で、俺は答えを待った。

シロは暫く思いつめた顔で黙りこんでいたが、観念したようにぽつぽつと語り始めた。


「……ごめんなさい。私がここに来たのは、ユーヤ様を殺すためです。私には妹がいて、ユーヤ様を殺さないと妹が殺されてしまうんです」


妹? が、俺を殺さないと殺される?

もう、わけが分からない。分からなすぎるよ……。

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