第4話 「パンツって何ですか?」

こうして、シロとの同居生活が始まったわけだが。


……さて。どうしたものか。

先ほどからシロは、部屋の隅っこに正座して動かないでいた。


「あ、あの、シロさん?」

「は、はい!」

「いったいそこで何してるんだ?」

「ふえ!? え、ええと、命令がないので、邪魔にならないよう待機しています」


あ、なるほど。


「自由にしていいんだよ? べつに俺、奴隷が欲しいわけじゃないしさ」

「で、ではユーヤ様は、なぜ私を……?」


「…………あー、その、可愛かったから?」


我ながら最低な理由だが、紛れもない事実だ。


そんな俺の言葉に、シロは嫌がるでも軽蔑するでもなく、赤面してもじもじしている。

いいのか、それで。


「そういやシロ。おまえ何歳なんだ?」

「こちらの人間で言うと、今年12歳になるはずです」


てことは、11歳か。

中学生ですらなく、まさかの小学生。


夢の国、ヘルム国とやらは最高だな!

……じゃなかった、最低だな!!


「おまえって、最初から奴隷なの?」

「はい。生まれながらの奴隷です」

「そっか。どおりで……」


どおりで、自由にしていいって言っても動かないわけだ。

恐らく、自由にするというのがどういうことなのか分からないのだろう。


しかし俺だって、普通の女子小学生がどんな生活をしているのかなんて分からない。


「ああ、そうだ。そういやおまえ、腹減ってない? もう昼だし、何か食うか?」

「ふえ!? で、でも私、まだお仕事なにもしてないです……」


「うーん、じゃあさ、おまえ料理できる? 何か作ってよ。簡単なものでいいから」

「は、はい!」


シロは立ち上がり、俺がいるキッチンの方へパタパタと寄ってくる。


「食材は何でも使っていいからな」

「はい。……あ、あの、このままでいいんですか?」


「ん? このまま、とは?」

「その。メイド服とか、裸エプロンとか、耳とか尻尾とか、つけなくていいんですか?」


……シロはいったい、今までどんな生活をしてきたのだろうか。


「そのままでいいよ。というか、そんな格好させるつもりないから」


と、そこまで言って気がついた。

シロの今の服装も、長めの薄いTシャツ1枚のような心もとない格好だ。


……あれ? まさかこいつ……


「な、なあおまえ、その、パンツとかは……」

「……パンツって何ですか?」


「え、おまえ、そのTシャツの下は……」


俺がそこまで言うと、シロは見せろという意味だと解釈したのだろう。

Tシャツの裾を持ち、上に

「って上げるなあああああああ!!」


俺は慌ててシロの両手首を掴み、寸でのところでやめさせた。

危ない。危うく犯罪者になるところだった。


「女の子がそんなことしちゃだめだ。おまえはもっと、自分を大切にしなさい!」


とりあえず料理をシロに任せ、俺はインターネットで女子用の下着を検索する。

フリフリひらひらしたものからシンプルなものまで、いろいろ出てくる。


さて、どれを買おうか。

シロには、どれが似合うかなー?


「って何を想像してるんだ俺はああああああ!」


俺の突然の発狂に、シロがびくっとして心配そうに振り返る。

情緒不安定な大人だと思われただろうか。死にたい。


平常心を取り戻し、一覧をスクロールしていくと……とあるパンツが目に入った。


水色と白の! 縞パン!!

と、ブラのセット!!!


……よし、これにしよう。


俺は何の躊躇いもなくしましまセットをクリックし、購入した。

ついでに、服も何着か買ってやることにした。

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