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言われなくても仕事はちゃんとやる。猫のごはんをあげるところから始まりトイレ掃除もする。
ここには猫が三匹いる。その為トイレも三つある。一つ一つちゃんと確認して、体調の把握だってするようにしている。それだって仕事のうちだ。
掃除は嫌いじゃない。目の前が綺麗になっていけば心も綺麗になっていくように思う。
そんなことを考えていると、入り口が少しだけ開かれ、外の空気が部屋の中へと流れてきた。
階段を降りてくる途中に咲いている草花の香りに混じり、少しだけ獣臭も一緒に漂ってきた。
既に仕事場にいた白子は両足を踏ん張って右手の甲で口と鼻を器用に隠し、左手は不自然に曲がり、鋭い爪をしゃきーんと伸ばしていた。
「あのう、すみません。ここがあのお告げカフェでしょうか」
か細い声を後ろに受けながらコテツが入り口から中に入ってきた。今回はコテツが呼び寄せたということか。
「そうです、ここですよ。さ、どうぞお入りください」
湖はいつまでもフリーズしている白子を無視して入り口の扉を開き、外に立ってもじもじしている人を中に招き入れた。
「事務の朝倉です。今先生を……」
言いかけて止まった。今日は休みだとさっき白子が言っていたことを思い出した。ということは白子が代理で表に立つということだ。
横目に白子を盗み見すると、いまだ同じ姿勢で固まっている。
咳払いをひとつ、
「白子さん、お願いします」
大きめのボリュームで声をかけた。
「え、あ、はい。はいはいはいはい、はいどうぞ」
思い出したように跳び跳ね、さっさと円卓に腰を下ろした。
「座って」偉そうに客人に座れと命じていた。
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