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ナイスバデーを見せつけるように両手をほっそいウエストに置いてしなやかにキャットウォークして近づいてくる。例えるなら映画で見る綺麗な女の代名詞のような真っ黒黒な衣装。革のジャケットは胸の谷間を見せつけるように開いていて、タイトなスカートは真ん中にスリットが入っていてパンツが見えそうだ。
小さな顔全部に笑みを讃えているこの白子という女性は『私の彼の下で働いているんでしょ』と言った。いわずもがな出雲大社の女ということだ。
あの占い師は確かに容姿はいい、ついでに顔もいい、が、性格は悪い。でもこの女性と並んだところを思い描くと、釣り合いが取れる。美男美女だ。
「で、今日は一人来客があるわよ。今日は私とあなたで対応するから、そのつもりでね」
髪を手の甲で跳ね上げて仕事場へ向かうその後ろ姿、ぷりっぷりのお尻が左右に揺れていた。
初めて会う人にそんなことを言われてもこっちも混乱する。だって、見ず知らずの女の人だ。彼女は状況を飲み込んでいるようだが私は丸っと分からない。と思うがしかし、
「出雲さん今日は休みなんですか?」
聞きたいことはたくさんあるけどひとまずこれだ。
「そうよ」
丸い円卓を綺麗な指でまーるく擦りながら湖を睨んで言ったことばにはやはり気のせいじゃない、トゲがあった。
「もうすぐ来ると思うから、あなたはコーヒーの用意でもしてね。あ、あたしにはミルクで」
白子は円卓の回りをくるくる回り、壁の方へ行き、壁に手をつけながら部屋を一周回っている。そのあと台所へ戻ってきてじっと冷蔵庫を眺めていた。かと思えば奥の部屋の前まで行って、おもむろにしゃがみこんで猫通路を睨んでいる。湖の視線に気づいたのかはっと顔を上げ、目を細めて可愛らしく笑むと、
「早く掃除してね」
と命令し、仕事場へと歩いて行った。なんとも訳の分からない人だ。
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