第104話 神の目的
尾張はもうすぐ秋になろうとしているが未だに蒸し暑く、まるでここに住む人間を燻製にしようとしているようだ。
ここはその暑い尾張の那古屋城の信長の部屋。尾張の蒸し暑さをものともせず、エアコンが可動していて信長の部屋は涼しく心地よい。
しかし、既に焦りと恐怖がこの部屋を支配していた。底知れない強さを持つ朝鮮の王明宗の攻撃が何時始まるのか、始まった場合どうやればその攻撃を防ぐことができるのか、不知が恐怖を増大させていた。
更に問題は未だ有る。戦おうとする明宗は、神が亜里沙に守れと言った存在だ。そんな存在と戦っても良いものか判らない。神に直接聞く必要がある。
その為に、彼らは熱田神宮に行くことにした。
「熱田神宮に転移するけど、その前に紫禁城に言って皇帝にも報告したほうが良くない?共闘すべきだと思うけど。」
「亜里沙は皇帝に何でも話してるだろ?今度は神にお願いしたら色々貰えた話もするつもりか?まさか、もう話してるわけじゃないだろうな。」
「話してないけど。なぜ。良いじゃない。彼、あなたの格さんになるかもって言ってるんだから。」
「それでも、秘密にすべきだったことは有るだろ。何時敵対関係に戻るかわからないんだ。敵対関係に戻ったら国力に差がありすぎるぞ。」
「大丈夫よ。仲良しなんだから。そもそも厚熜くんがあなたを殺すんだったらとっくに殺してるんじゃない?最初からバレてたんだから。信用すべき人間を信用しないと誰も信用できなくなって孤立無援になるわよ。」
「それでも利害が対立する関係だろ?利益相反関係者には言うべきでないことも有るだろ。」
「もう、分かったわよ。じゃあ、私達だけで熱田行きましょ。」
信長一行は熱田に転移し早速神に聞いてみた。
「攻撃されて死にそうになったわよ!あれを守れって、どういう事?」
「いや、申し訳ない。あれほど頑なになっているとは思わなかった。」
「あいつは何であんなに強いの?こっちのバリアが全く効果がなかったわよ。」
「実は、あいつは俺の弟だ。あいつもこの世界の神だったんだ。今は記憶を失くしているが、未来の世界の知識をこの世界に活かすために進んだ異世界、つまりお前たちがいた世界に転生させたんだ。しかし、何らかの力が働きあいつを取り巻く環境と周りの人間が最悪になった。最悪の環境に最悪の人間が周りを固めあいつの心を甚振り続けた。その所為であいつの魂は
「主にじゃなくて日本人にだけでしょ!でも、神だったからあれほど強いのね。」
「そうだ。すべての魔法が使える。ただ、人間になり記憶を失くしているから精神的に弱い。だから前世で汚れてしまったんだ。多分この世界の他の神の仕業だろうと俺は考えている。」
「神は沢山いるの?」
「それ程でもないが、かなり居る。お前にはあいつを覚醒させあいつの汚れてしまった魂を浄化してほしかったんだ。しかし、あれ程頑なだとは思わなかった。」
「私達には無理よ。相手は神様でしょ。とても敵わないわよ。」
「何を言ってるんだ?お前も記憶を失くしてるようだが、どうしてお前が色んな魔法を使えると思ってるんだ。お前は俺の妹だぞ。お前もこの世界の神だったんだ。お前はあいつを助けるためにあの世界に一緒に転生した。だが、何らかの力が働き記憶を失くした為にあいつを助けることが出来なかったんだ。」
「え?お兄ちゃんなの?おにいちゃん。」
「記憶を取り戻したのか?」
「言ってみただけよ。」
「( ̄ ̄ ̄ ̄□ ̄ ̄ ̄ ̄)チッ。本当にお前は記憶を失くしているのか?そんなところは以前と一切変わらないな。」
「なるほど、帰蝶は昔から変だったんだな。┐( ̄ヘ ̄)┌ ヤレヤレ・・・」
「帰蝶って言うなって言ってるだろ‼でも私は使えない魔法が沢山あるわよ。地図とか見れないし。」
「それは呪いだな。前世でお前が記憶を失くした時にその力で魔力も粗方封じられたみたいだ。だから、俺が少し魔法を与えた。封じた誰かを倒せばその力は元に戻るかもしれない。俺がお前に魔法を与えなくても元々使えたんだ。」
「なるほど。今のままでは神の力を持つ朝鮮王の明宗を倒せない。だから、呪いをかけた神を倒せば力を取り戻して明宗を倒せるようになるという事ね。」
「そうだ。」
「じゃあ、まずはその神を見つけて倒せばいいのね・・・って、同じ神なんだから倒せるわけないだろ‼この馬鹿兄貴。」
「おっ、記憶を取り戻したのか?お前は良く俺を馬鹿兄貴と呼んでたぞ。」
「呼んでみただけよ。そうか神様は前から馬鹿だったのね。」
「お前がそう呼んでただけだ。馬鹿ではない。」
「でも馬鹿だから馬鹿と呼ばれていたんでしょ。」
「お前は誰に対しても馬鹿と呼んでたぞ。」
「帰蝶、馬鹿と言う者が馬鹿だぞ。つまりお前は昔から馬鹿だったという事だな。( ´_ゝ`)フッ」
「帰蝶と呼ぶなと何度言ったらわかるの、ダーリンが変だと言ったんでしょ。」
「変と言えばダーリンと呼ぶのも変だぞ。ダーリンと呼んでいいのはラムちゃんとサマンサ位だぞ。」
「誰よ、サマンサって?」
「口を動かして魔法を掛ける魔女だそうだ。」
「じゃ、私も魔法が使えるんだからダーリンと呼んでいいのよ。」
「む~~、なるほど。電撃も使えるしな。後は虎のパンツだけだな。」信長は納得してしまった。
「話がそれちゃったじゃない。それでどうすればその神を倒せるの?って言うか何と言う神なの?それが分からないと倒しようがないんだけど。」
「それは今後の調査次第だな。」
「じゃあ、その前に明宗と戦闘になるじゃない。どうすんのよ。」
「だから、お前に呪いをかけて神を倒せば良い。」
「って、堂々巡りじゃないの‼ ( ̄□ ̄#)ψむき~」
「まぁ、頑張れ!じゃ。」
「おい、あいつ問題丸投げして消えたぞ。」
「仕方がない兄貴ねぇ。ダーリン、紫禁城へ行く?厚熜くんに助けを求めないと。彼のバリアなら次元の連続性がなくなるから防げると思う。兎に角、明宗を何とかしないと大慶油田の計画も進められないわよ。朝鮮からすぐだから。」
「よし、紫禁城へ行く。皇帝と共闘する。」
「でも共闘したら駄目なんじゃないの?神の望みは明宗の覚醒だから。怒りに火を付けたら覚醒どころじゃなくなっちゃうんじゃ。」
「でも今の侭じゃ殺されるだけだ。神なんだから簡単には死なないだろう。たとえ死んだとしても記憶が戻るかもしれないだろ。殺されるよりマシだ。」
「そうね、殺されてまで助ける義務はないわね。というより、助ける義務さえないんじゃないの?私殺されかけたし。」
「そのとおりだな。兎に角、まずは相手の覚醒よりこちらの防衛だな。良し、紫禁城へ行くぞ。まずは、チナチアットでコーヒータイムだ。」
「はい、はい。ねぇ、まずパリまで行ってケーキ買ってからコーヒーにしない?」
あまり危機感のない信長その仲間たちであった。
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