第44話 強行突破
帰蝶は寝ぼけてトイレへ行く振りをしながら、認識阻害の魔法を掛け地下牢のある建物へと向かった。牢獄のある建物に到着し、階段を降り牢屋の前まで来た。中を見ると四人で仲良く寝ていた。
「早く起きなさい。」
すると寝ぼけた顔で、のそのそ起き上がる。
「どうして、仲良く寝てるのよ。捕まってこれから拷問されるかもしれないのに。どうしてぐっすり寝れるの?ダーリン、あなたなぜ珠の太腿を枕にして寝てるの。後でお仕置きよ。」
「帰蝶、お前は俺を裏切って信長の妻になったんだろ。」
「あれは信行でしょ。芝居よ、芝居。あなた達を助ける為に一芝居打ったの。鍵開けれる?」
帰蝶は一益の方を見て尋ねた。
「それ、開けられなかったぞ。」
「そう。」そう言うと帰蝶は魔法を使いカギを溶かした。
「さ、早く出なさい。」
「帰蝶、首輪はどうする。」
「信行の魔法より強力な魔法なら使えるらしいわよ。でもそんなことしなくてもこの首輪だけ転移させれば問題ないわよ。信行の首にでも転移させようか。」
「いや、それ無意味だから。この牢から出さない方が良くないか。ここに未だいると思わせられるかもしれないし。」
帰蝶は転移の魔法を使い首輪だけを吉法師の横の床の上に転移させた。
「よし、これで魔法が使える。早く逃げるぞ。おい忍者、俺を背負え。」
相変わらず帰蝶以外には偉そうに出来る吉法師であった。
「ところで、信行は。」
「今はまだ眠ってるわ。深―い睡眠に入ってる。強い魔法掛けたから。だって強くないと、魔道具で魔法が効かないらしいから。」
「殺せばよかったのに。」
「前回生きていた原因が分からないから、魔力温存の為に眠らせるだけにしたのよ。」
5人は建物を脱出した。今度は兵士もいない。信行もいない。しかし城門は閉じられ、
吉法師は閂の鍵を土魔法で溶かし、ただの鉄の塊にして珠に持たせた。
「動くな。残念だったな。動くと撃つぞ。」
声のする方を見れば、織田信長こと信行が先刻吉法師達から取り上げた銃を向けていた。
「逃げれるものなら逃げてみろ。」
「よし、逃げるぞー」
吉法師は叫んだ。
「あの銃は持ち主以外には使えなくしているんだ。」
「何?」
しかし、帰蝶が大変な事を言い始めた。
「いえ、この忍者に渡す為にその限定は解除したわよ。」
「ははっ、残念だったな。」
信行は引き金を引いた。
パラララララララアラ・・、銃は反動で上を向き、全弾撃ち尽くしていた。
「残念だったな信行。銃の使い方を知らなかったようだな。帰蝶、念動力で銃をこっちへ取り戻せ。」
「ぷーっぷぷぷ、ヒーー、ヒーー、な、なんて間抜けなの?無様なの?ひ――、一気なの?一気に弾を打ち尽くしたの?阿呆なの?ひーひっひーー、こ、殺さないで、全弾撃ち尽くした時の信行の顔見た?唖然?あれが唖然なの?唖然なのね?ひー、使い方も知らないのに、動くと撃つぞって言うの?映画?映画の見過ぎ?だ、だめぇ、ひぅ、ひっ、殺さないで、信行サイコー。ひーーーっ。」
帰蝶は笑い転げていてそれどころではなかった。仕方なくの吉法師は自分で魔法を使い銃を取り戻した。
「さ、逃げるぞー。妻木、珠を背負え。」
吉法師一行は魔法で門を閉じ土魔法で扉を固定している鉄を使い扉を開かなくして車へと向かった。
「帰蝶、転移魔法が使えるだろ。車まで一気に転移できないのか。」
「さっき使ったでしょ。」
「いつ?」
「首輪外したでしょ。」
「外す前に転移したらよかったのに。」
「そしたら、首輪が外せないでしょ。爆発させて外したら首から上が無くなってたかもしれないわよ。首から上が無くなってたら大笑いしてたわよ。」
「ところで、この忍者誰だよ。」
「滝川一益よ。」
「滝川一益だと?信長の味方だぞ。俺の敵じゃないか。敵の見方は敵だぞ。」
「あのね、信長が味方につける前にあなたが味方につけるのだから信長に煮え湯を飲ませることが出来るのよ。信長の味方を減らす事にもなるし。一石二鳥よ。」
「そうだな。よし、一益、お前を俺の家来にしてやる。」
「結構だ。」
「やっぱりこいつは信長の家来になるらしいぞ。」
「俺は、帰蝶様の家来になるぞ。」
「そうか。じゃあ、尾張に越して来るか。」
「おう、嫁と子供と三人で越して来るぞ。」
「ところで、お前は敬語使え。それと今日は家に泊めろ。朝から車に乗って帰るぞ。」
「帰るの?おじゃる丸は良いの?」
「誰だよおじゃる丸って、あ!あいつか。今川義元だろ。」
「そうよ、彼はあなたと同盟を結ぶって言ってたのよ。ここで信行を倒して今川義元と同盟を結べば織田信長の出世のきっかけとなった戦が無くなって信長が出世できなくなるわ。そうすればあなたの邪魔をすることもないわよ。」
「そうだな。ここで同盟を結んでおけば信長の出世を防げるな。よし、今川義元を助けるぞ。織田信長何するものぞ。」
帰蝶に操られる吉法師であった。
「 (* ̄ ̄ ̄ ̄ー ̄ ̄ ̄ ̄)フッ、ちょろいわね。」
「なんか言った?」
「いえ、何も。ぷーっ、ぷぷぷ。まさか、ほんとに?ほんとに気づいて無いの?あほ?阿呆なの?ひーーっ、もう、笑わせないでーっ。マイダーリンはノータリーンなの?ゴロが合わないわ。もう駄目、今日は笑い過ぎ、お腹が痛い。助けてお腹がいたいわよ。ひーーっ。」
箸が転んでもおかしい年ごろの帰蝶であった。
暫くの間、敵兵を避けながら3キロほどの距離を歩き安倍川を渡って妙音寺の近くにある一益の家へ辿り着いた。家の中には珠や妻木と同じ年位の一益の妻と産まれたばかりだという子供がいた。
「一益の奥さんか。今日から一益はこの帰蝶の部下になったからな。一緒に尾張まで行くぞ。」
「あーそうですか。あんた、こんなどこの馬の骨とも分からないガキの部下になってどうするの明日からどうやって生活するの。あなた気は確か、馬鹿なの、子供のお飯事に付き合ってどうするの。」
「あのな、この坊ちゃんは尾張の織田家の御曹司だぞ。今織田家に仕えられたのは大収穫だと言えるんだぞ、将来は大名かも知れんぞ。」
「え?この馬の骨は織田家の御曹司だったのかい。」
「馬の骨って言うな!一益お互い嫁には苦労するな。お前の気持ちは良く分かるぞ。」
「そうなんですよ、吉法師様。お互い苦労しますよね。」
「そう言えば・・」帰蝶が話し始めた。
「お宅の旦那は、今日、この妻木を襲おうとしてたわよ。私が止めなかったら子供が出来てたわよ。既に勃起してたんだから。」
「帰蝶、お姫様が勃起とか言うな。」
「あんたほんとかい?この娘さんを強姦しようとしたのかい。」
「仕方ないだろ、泥棒しようとしたんだから。」
「でも強姦する必要はないだろうが。この馬鹿亭主!」
一益を殴ろうとしたため一益は逃げ出した。それを妻が追い掛けはじめる。夜中だというのに追いかけっこが始まった。
皆が、夜中だから止めろという中、帰蝶だけが笑い転げていた。
「ひー、強姦魔が追い掛けられてるわよぉ、ひーーっ、一益ぅ、早く逃げなさい、逃げないと、逃げないと、ひーっ、殴られるわよ、ひーっ。」
一日中笑いっぱなしで笑いの止まらないの帰蝶であった。
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