- A Stone - Another Story

作者 A

11

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★★★ Excellent!!!

 物語全体から受ける印象を、私は透明感だと思いました。

 主人公ニコライの一人称で進む物語は淡々としていて、その印象を冷たいと感じてしまう事があるかも知れません。

 しかし読み進めていく内に、ニコライはとても優しい人物なのだと感じられると思います。

 魔法ではないというニコライの能力は、何と呼ばれているのか作中では明かされていません。きっと作中世界の中でも珍しい力で、名前などないのかも知れませんが、その力を操れるからこそ身に着けられた優しさなのだと感じました。

 その優しさが、この淡々とした印象を受ける一人称の理由ではないでしょうか。別れの辛さを誰よりも知っているから、彼は華々しい感動を与えず、深く絶望させる事もなく、いずれ来る別れの時に惜しむべき何ものをも人にぶつけないのかも知れない、と。

 でもニコライは無色透明な存在ではないから、そんな優しさを感じる彼の物語に、私は透明感という言葉を思いうかべたのだと思います。

 他の登場人物にも、決して同じではないけれど、優しさを感じ、それぞれを思い遣っている雰囲気があります。

 この透明感、とてもとても純粋な、言葉にできない大切なものだと心に残りました。