第119話:5人
奇龍目線___
「暇だー!!!!!」
芝生の上でゴロゴロとしながら言うと、
「うるさい。」
姉ちゃんの呆れた声が頭上から降ってくる。
「だってさー、今年めっちゃ忙しかったのに、何だかんだ年明けて三学期始まっても何も起きねえし!暇だー!」
「何も起きないのはいい事ですよ、奇龍先輩。」
「僕もそう思う。」
「いや、そうだけどさ!気張り詰めてたのに急に何も無くなるじゃん!」
「まあまあ、もし年末に衝突が起きても俺達は多分出動にならなかったよ。俺らも復活していないし、雨梨の耳もあったしね。」
「確かに…!」
蒼桜先輩が優しい声で言うと全く言い返せない。
「あんたもろくに授業出れない状態だったから、訓練なんて出来なかったでしょ。そんな人を連れていかないわよ。」
「ゔっ…。」
俺と蒼桜先輩の体力が完全に回復するには時間がかかった。ついでに俺は特に夕方から朝まで咳き込んで寝れないため授業も休みがちで卒業も既に危うい。
「蒼桜にいや奇龍先輩だけじゃなくて、羅希先輩も雨梨先輩も私もそれぞれ事情がありましたし!」
確かに凛音は腕や足の捻挫のこともあったし、一条のごたごたでしばらく忙しくしていた。雨梨は耳の治療でほぼ会えなかったし、今みたいに日常生活に支障が出ないほどにまで復活するのには時間がかかった。唯一何も無かった姉ちゃんは他隊や他班へ教えに行ってたし…。
「やっと5人で訓練出来るようになったな!!」
「そうね!じゃあこの不謹慎で馬鹿な弟をしごかないといけないわね!」
「ええー!」
「不満そうだね。羅希の扱きは怖いから…。」
「班長。」
「ごめんごめん。」と笑う。
やっと5人で訓練出来るようになったのに、2人は卒業か。
「いてっ!」
「何しゅんとしてるのよ!」
「なんでもねーよ!!」
寂しいなんて言ってやるか。卒業しても5人は5人なんだから。
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