第116話:やっと得た自由

凛音目線___

「こんにちはー!」久々の休日、朝馬の事を済ませた後久々に祖父の家に来た。

「凛音様。こちらへどうぞ。」

「井上さんお久しぶり!あ、これ、井上さん達へのお土産!おじい様には内緒ね!」

 固いというか気まずい表情から、ありがとうございますと笑顔に変わったのを見て少し安心する。

「凛音来たのね!」

「おばあ様!」

「あの後大丈夫?体辛くない?」

「大丈夫です。」

「あなた、凛音来たわよ!」

「凛音大丈夫か?」

「はい。」

 こう見ると普通のおじいちゃんとおばあちゃんだ。でもこの人たちと一条家の跡取りというプレッシャーが猫音を追い詰めていたのか。

「猫音!凛音着いてるぞ!」

「凛音…。」

 恥ずかしそうにそして申し訳なさそうに顔を出す猫音に

「猫音!猫音の部屋で遊ぼう!何する?」と駆け寄る。

 された事は許さないけど、背景を知ったからそれは持ち出さない事にした。猫音は充分咎められたし、これからも咎められるから。あの後桐谷先生と風見先生は回復し、桐谷先生は命令違反はあったものの口頭注意だけで済んだ。スパイ疑惑も毒混入も私を仕留めるための作戦だったということだから収束。とりあえず主犯の猫音は半年の停学、共犯者は3ヶ月の停学。でも制服を着用せず戦場以外で上官である教員を殺そうとした事から国の法律的には裁かれるだろう。猫音も教唆したことになる。これで良くも悪くも跡継ぎというプレッシャーもないし、軍に居ないといけないという縛りも無くなった。そんな猫音は今はすごく穏やかで同級生と変わらない感じがする。ここまで大きなことをしなければ猫音は穏やかに過ごせなかった。

「凛音?」

「ん?」

「どうしたの?」

「ううん、なんでもない!何する?」

 今は目の前の猫音と遊ぼう。私達は従姉妹になれたのだから。

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