第43話:不甲斐ない

蒼桜目線_____

 凛音が校医を連れて行く時に会った凛音から話を聞き急ぎ着いて行く。校医曰く体力が落ちていて免疫力も低下しているらしい。

「羅希。」

 苦しいのか涙が出ている。横で凛音も不安そうに見る。何か言いたそうにしている気がした。

「羅希…?」

「桐谷先輩…」

「っ!」

 桐谷先輩。

「蒼桜にい?」

「ごめん、二人きりにしてくれる?」

「分かった。」

 こういう時凛音は素直に気を効かせてくれてありがたい。二人きりになり少しでも桐谷先輩の代わりに抱きしめる。こんなので救いになるわけないのに。

「ずっとずっと会いたかったんですよ!私っ…私のせいでっ…。」

 苦しそうに吐き出す羅希に、違うよ、違うと声をかけた。

「私は嫌です!先輩がいなきゃ意味がないんです!先輩がいなきゃ私はどこにいればいいんですか!」

 ごめん…やっぱり俺じゃ居場所になれない?桐谷先輩みたいにはなれない?そうだよな。

 羅希と先輩は付き合ってた。確か付き合い出して2・3年になる頃だった。ただの同級生で、出会って3年の俺じゃ羅希を助けられない。ぎゅっと服を掴まれ、もう苦しまなくていいよ、羅希は十分苦しんだ。そう声をかけたくても言えない。

「晴人君っ!」と言いゆっくりと目を開ける。


「羅希…?」

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