第20話 晶霊士
アカシが懇願するように瞬に向けて手を合わせている。
一方、瞬の方はキョトンとしており、不思議そうな顔になっている。
(
一方で周りの晶霊たちの間でもどよめきが走った。
「とうとうアカシが……」「
瞬はどうしていいかわからずに困っていると、そこにオトたちがやって来た。
「おーい! ちょっと遊びに行こうぜー! 」
「ごめーん! ちょっと待って! 」
そう言って瞬はオトの方へと泳いでそっと尋ねる。
「ごめん。相棒って何のこと? 」
「どうしたの急に? 」
きょとんとするオトにアカシの方が声を上げた。
『私……シュンと相棒を組みたいの……』
そう言われてオトはキョトンとしているが……トヨタマが助け船を出す。
『相棒のことを知らないんじゃないかな? シュンもトワも結構変わった生まれだし』
「あーっ! そう言うことか! 」
言われてようやく納得したオトは、すっとトヨタマに向かって泳ぐ。
「相棒ってのは、私とトヨタマみたいに組んで戦うことを差すんだ」
オトがそう言うとトヨタマは着流しの前を開いてお腹を見せる。
晶霊は不思議なことにお腹が大きい。
トヨタマも体ががっしりしている方なのだが何故かお腹だけポッコリ膨らんでいる。
「こうなるんだ」
そう言って、オトがトヨタマのお腹に手を当てると……
そのままにゅるんとお腹の中に吸い込まれていった!
「「ほぇっ! 」」
刀和と瞬がびっくりしていると、今度はトヨタマがぐっと力を入れた。
「はぁぁぁぁぁ!!! 」
ぶわわっ!
全身からオーラのような物が発せられて、トヨタマの体がふわりと浮かび上がる!
「えっ……」
「すごい……」
舞空術のように浮遊するトヨタマは、右手をその辺の岩にかざす。
ボっ!
手から光弾が出てきて、そのまま岩へとぶつかって弾ける!
岩が壊れる程では無かったが少し削れている。
「「おおっ! 」」
目を輝かせて感嘆の声を上げる二人。
いきなりド○ゴンボールのようなことが起きたので嬉しいのだ。
しばしの間、トヨタマは色んな事をやって見せてから、ふわりと地上へ降りた。
着流しの前を開くとお腹からぴょこんとオトが飛び出てきた。
「相棒を組むと、アウルを使えるようになるから晶霊の強さが増すんだ」
「へぇー! 」
嬉しそうに目を輝かせる瞬。
さり気にこういったロボット物が好きだったりする。
『アウルを噴出すればこうやって高速で動き回れるようになるし、空も飛びやすくなる』
「空を飛びやすくなるって……他に飛ぶ方法があるの? 」
『クジラとかに乗ると空は飛べるわ。それと鳥とか虫とかの「はね」が生えた晶霊は飛べるの』
「ほぇー! 」
刀和も嬉しそうに目を輝かせる。
「じゃあ、アカシと相棒になったら一緒にあんなことが出来るようになるの!? 」
『えっ? ええ。そうよ! 』
ウッキウキで目を輝かせながらアカシに尋ねる瞬。
「じゃあやる! 」
『えっ? 本当に良いの!? 』
「もちろん! 」
嬉しそうにお腹に入ろうとする瞬。
その瞬間!
刀和が入ろうとする瞬の襟首をつかんで止めた。
「ストップ! ストップ! ストーップ! 」
「ちょぉ何よ! あたしは早くド○ン波の練習したいのよ! 」
「せめて気○砲の方を練習しようよ! 」
鶴〇流の方が好きな瞬を必死で止める刀和だった。
用語説明
相棒(あいぼう)
人と晶霊が共生する最大のメリット。
人が晶霊の中に乗り込むことによって、晶霊はアウルと呼ばれる気のようなものを使えるようになり、バーニヤのように吹かせて空を飛んだり、ダッシュしたりできる。
晶霊は相棒を組むことで晶霊士(しょうれいし)と呼ばれる一段階上の戦士になれる。
ただし、人間との相性の問題が非常が大きく、簡単に組めるものではない。
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