そして…お怒りのようです。
さて、いよいよダンジョンに挑戦する。
念の為だが、多少値が張ったが一定時間で地上に強制転移してくれるという水晶のペンダントを二人分購入。
購入時に日暮れくらいの時間をセットしてもらったのだが、
危険を感じた際には石の部分を叩き割ればその時点で帰還出来るそうだ。
とても便利!
エイナ「あはぁ…おそろいだねぇ~♪
わぁい!」
とエイナは
くるくる回って喜んでいる。
受付嬢「まぁ、これだけ準備しておけば大丈夫だとは想いますけど…
十階層以上は中級者向けとして一気に敵の強さが上がりますから、
くれぐれも気をつけてくださいね。
エイナちゃんも無理しちゃダメよ~。」
と、受付嬢はエイナの頭を撫でながら念を押す。
エイナ「うん、わかったよ♪
行ってきまーす!」
受付嬢「アサヒさん、そんな度胸は無いと想いますが…
既に先に入ってらっしゃる冒険者の方々もいらっしゃいますので、
もしかち合ってしまっても、くれぐれもトラブルなど起こさずに
協力して進んでくださいね。」
…俺を何だと思ってやがる…。
まあそんなに時間もないし、ダラダラ進めばそんなに先に進む前に帰還の時間になるだろう。
俺の仕事はズバリ!
エイナの足を引っ張って、
程々に楽しませ、適当な所での時間切れを演出することだ!
しかし、新調した装備も軽くて動きやすい。
コレで性能もあがると言うのなら、今後もキチンと装備に金を掛けるべきか…。
などと考えなが前方のエイナのバーサクっぷりを眺めながらサクサクと歩いている両脇には様々な魔物の残骸が積み上げられ、
何の抵抗もなく水中を進むように歩いているのだが、気がつけば…
エイナ「ねぇ、アサヒ!
でっかい扉だよ!ねぇ、ボスかな?」
…15分程度で最初の中ボスです…。
早くね!?
俺「なぁ、エイナ…も少し楽しんで進まないか?」
エイナ「ボクは楽しんでるよぅ。
まだまだ楽勝だから、ここのはアサヒがやってみなよ♪」
…なんですと?
俺「い…いやいや…、俺はタダの付き添いですよ…?」
エイナ「ダメだよ~、ちょっとずつでも戦いに慣れていかなきゃだよぅ。
もちろんいざとなったら…
アサヒはボクが守るから!」
…それはもういいです。
誰かもっと新しいネタをこの世界に流行らせてくれ…。
だが…確かに言う通りでは有る…。
俺「…守ってよ…?」
エイナ「お任せだよ♪
じゃあ、扉をあけるよ~♪」
よいしょ、よいしょ…とエイナが重そうな扉を開けると、部屋の中は真っ暗だ。
二人で部屋の中に入ると、後ろの扉がバタンと閉まり…暗闇に包まれた!
やがてユックリと頭上から松明に光が灯っていき、
あっという間に部屋が明るく照らされる。
部屋…というよりクルセイトの洞窟の、あの空間のようなスペースだ。
…コレは…プロデュースしたあちらのゲーム好きが以前にいやがったな…。
俺「90年代だな…この演出は…。」
それはいい!
敵は何処だ!?
ごごごご…と地響とともに部屋の中心辺りが盛り上がる!
エイナ「アサヒ~、剣の準備!」
そう言われ、買ったばかりの剣を腰から抜く!
コレまた軽い♪
素材は安いものだが、ちょっとした精霊を宿して性能をあげてあるらしい。
眼の前ではどんどん地面が盛り上がり中ボス登場を緊張しながら待っている!
エイナ「アサヒ~、あれ…上から刺しちゃってよ。」
俺「え?」
エイナ「こんなモタモタしてるヤツなんかテキトーにやって先に進もうよ。」
俺「え?いいの?まだ準備中だよ?」
エイナ「先手必勝だよぉ♪
割と大事だよ~。」
う~ん、気が引けるが…敵の名乗りを待ってられるほど強くもないのも確かだ。
ましてや魔物相手に騎士道もへったくれもないか…。
いまだにユックリと形を形成しようとしている土の塊を剣で上からサクッとやると…
しっかりと形を作り上げる前のソレはサラッと地面に戻っていった。
終わり!?
すると部屋の奥に扉が現れ、その奥には下へ続く階段が…。
エイナ「ん~…まだまだだよね…。
途中の雑魚の方が急に出てきて面白かったよ…。」
俺はすごく緊張したけどな…。
俺「でも経験は必要だな…。
あんな、敵の意表を付いて楽に倒すなんて…
まず発想が無かったよ。」
先を進んで居たエイナはくるっと振り返り、
ニヒっと微笑んで見せる。
誰か!精霊とやらでもいい!
カメラを…カメラを創ってくれ!!
この子の成長の一瞬を切り取る道具を!!
エイナ「さぁ!
次行くよ~♪」
で、あっという間に六階層の中ボスの間の前。
…ヤバイな…本当に結構先へ進んじゃうんじゃないだろうな…。
ここまでの道中、少しずつだが雑魚として現れるいくつかの魔物の相手をさせて貰ったのだが…やはり俺にはまだまだその程度でも必死にならなくては反撃をくらってしまう。
その都度小石を投げて相手の攻撃の軌道を変えて大事に至らないようにしてくれるエイナの姿があった。
今はまだ仕方ない!
だが、少しずつでも前に出よう。
いつか何かがあった時に少しでも力にならなくては!
俺はこの子のお兄ちゃんなんだからな!
よし!気合を入れよう!
俺「エイナ、行ける所までボス部屋に挑戦させてもらっていいかな?
まだ初心者向けみたいだし…。」
するとエイナはにこやかに「うん、いいよ♪」と返してくれた。
よし、今度は躊躇わない。
敵を倒す!
やることはそれだけだ!
力いっぱいに扉を蹴って開き部屋に躍り込む!
…と、前方から勢いよく大きな岩が飛んできた!!
ぐいっとエイナに引っ張られて横に投げ飛ばされた俺は無様にひっくり返っている…。
な…なに?
エイナ「もぉ…さっき言ったでしょ~?
先手必勝だって…。
もちろん敵もそうだよね♪」
いやいや、ステージ1と2の差がでかい!!
先ほどとは逆に、明かりがついた時には土で出来た大男のような魔物が広い空間の真ん中に立っている。
魔物「…ちょっとさぁ…
さっきのアレ、無くない!!?」
そして…その魔物は大変ご立腹のようでした…。
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