閑話.冒険者エリスの始まり

私、エリザベス・マグダエルの旅路は順風満帆……という訳にもいかなかった。長距離を歩いて移動するのに慣れていないのもあるけれど、1番厄介なのは戦闘面だ。


この世界には魔物と呼ばれる自然災害に近い存在がウヨウヨしているのは知っていた。大きな国、私が元いたウィンドガル王国などは巨大な結界魔法を張っていたりするので、あまり魔物被害は聞かない。まぁ、龍のような神聖に近い存在を結界でどうこうは出来ないみたいだけど……


なので、一歩国から出れば魔物と戦闘することになるのだけれど、今の私は災厄の影響を受けたせいで色々問題があった。


「ふぅ……意外に厄介ね……コレは……」


私は私の雷の魔法で丸焦げになった魔物を見て溜息をつき、すぐに魔力数値を回復する薬を飲んだ。



「エリザベスちゃんの身体にはもう災厄は残ってないけど、災厄の影響が2点程残ってるわ。一点は、魔力が普通の人より倍以上高くなってる点。もう一点は、貴方が前からあった魔力数値が大幅に減って、今は100にも満たない数値になってる点ね」


私の身体についてそう説明してくれたヴィオル様はそう言って、旅立つ私に大量の魔力数値回復薬を渡した。何でこんなに渡されたんだろう?と、思ったけれどようやくその意味が私にも理解出来た。


魔法は威力の高い魔法を使えば、それに応じた魔力数値を消費する。それは魔法を使う者にとっては常識だ。そして、今の私は魔力が高すぎてどんなに低い威力の魔法でも、威力の高い魔法になってしまう。そして当然それに応じた魔力数値を消費してしまう為、現在100にも満たない私の魔力数値では、一発放つだけで魔力の枯渇で倒れそうになってしまうのだ。


「こんな事なら……もっと武術を習っておくべきだったな……」


今更後悔しても遅いのは分かっているけれど、そう呟かずにはいられなかった。


「とりあえず……先に進もう……」


私はとにかく近くにあるという村を目指して再び歩みを進める。すると……


「……えっ!?人が倒れてる!?」


私は急いで倒れている人の元に向かった。倒れていたのはそれはもう人とは思えないような美しい少女だった。真っ白な私より短い髪に、その髪よりも真っ白な肌が、余計に少女が病に倒れてるのではと思わせた。


「あの……!?大丈夫ですか……!?」


私は少女にそう声をかけたら、少女はうっすらと目を開いた。その瞳は綺麗なルビー色だった。


「良かった……!無事だったのね……!」


「……お腹……空いた……」


どうやら空腹で倒れていたみたいね。何か食べ物を私持っていたかしら……


「……だから……いただきます……」


「へっ?」


少女が急に私の首に手を回して起き上がり、そして……私の首筋に、少女は少女らしからぬ鋭い牙を二本突き立て……


「ッ!?たぁぁぁ〜ーーーーーーいッ!!?」


これが、エリザベス・マグダエルこと冒険者エリスの物語の始まりの出会い……

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