129.ヴァン王子の決意

ヴァン王子に呼び出され、ヴァン王子が私に切り出した一言は……


「俺との契約の婚約を解消してくれないか?」


だった。それを受けた私は……


「はぁ……?」


という、なんとも間の抜けた顔になったと自分でも分かるぐらいの表情になった。


「やれやれ……こうも予想通りの反応だと少し凹むな……」


ヴァン王子は苦笑を浮かべてそう言った。あら?私の反応は予想の範囲内だったという訳なのね。


「いや……まぁ……正直しいて言うなら、何で今更そんなことを言い出したのかなと……?」


私の中にあるのは疑問だった。ヴァン王子な生真面目すぎるぐらい生真面目なので、契約期間までは婚約関係を続けるんじゃないかなと思っていたので、何故突然そんな話を切り出したのか分からなかった。


「まぁ……きっかけは兄上だな……兄上が0から関係を打ち切ってスタートするなら、俺もそうすべきかと思ってな……」


はぁ……よく分からないけれど……そういえば、カイン王子と言えば、この前カイン王子に婚約解消した理由を聞いたら…….



「彼女へ告白したら見事に振られましてね。だから、これ以上婚約という名で彼女を縛ってはいけないと思って、婚約を解消しました」


と言っていた。あの時の呼び出しはやっぱり告白だったのね。けれど、アリーは告白を断ったって事は、アリーにはやっぱり他に好きな人がいるという事かしら?そういえばカイン王子ってば、こんな事も言っていたわね。



「ですが、彼女を諦めたつもりもありませんよ。彼女との関係を一度0にして、再び彼女を口説き落とすつもりです。だから……負けませんよ」


と、言っていた。いやいや……カイン王子……そのセリフはアリーの好きな人に言わなきゃ意味ないですって……


おっと、話が逸れたわね……今はカイン王子の事じゃなくて、ヴァン王子の事だったわね……


「はぁ……まぁ、婚約を解消するのは一向に構いませんが……」


もうすでにあのイベントは終わったから、私の断罪イベントは無くなったと思われるしね……多分……恐らく……きっと……


「……まぁ、やっぱりお前は俺との婚約に執着はしてないか……」


ボソッとヴァン王子が何か呟いたような気がしたけれど……はて?何と言ったのかしら?


「それで……婚約を解消してもお前とこうして時々話したいんだが……いいだろうか?」


ん?もしかして……妹の攻略情報とかが欲しいって事かしら?まぁ、ヴァン王子はちょっとはカッコいいと思わせてくれる所もあったし、ちょっとはアリーに相応しいって認めてあげてもいいしね!


「いいですよ。だって、私達、友達ですからね!」


そう!それに、ヴァン王子と友達って事にしておけば、私は今世でもちゃんと友達がいるって事に出来るし!これで私の友達はサルガオ君とヴァン王子の2人よ!まだ全然少ないけれど……


「友達……か……まぁ、兄上よりは先に進んだと思うべきか……」


ヴァン王子はボソッと呟いた一言は私の耳には届かなかった。

って!?あっ!?そうだ!もうすぐ行かないと!?


「すみません!!ヴァン王子!私、魔法省にいるヴィオル様に会わないといけないので、これで失礼します!!」


「あぁ、分かった……」


こうして、私もヴァン王子との契約婚約を解消する事になった。まぁ、私はアリーと違いキズモノ令嬢扱いさるたけれど……まぁ、どうでもいいわね!それより!急がないと!ヴィオル様を待たせてはいけないわ!!















「しっかり言わなきゃ、アンナちゃんに貴方の気持ち全然伝わってないと思うわよ」


突然、ヴァン王子の背後から声をかけるヴィオル。しかし、ヴァン王子は最初から予想していたのか、特に驚かなかった。


「俺はやはり兄上に比べたら臆病な性格だからな……今のこうして楽しく会話出来る関係を壊したくないとも思ってしまった……」


ヴァン王子はフッと微笑を浮かべてそう言ったが、すぐにジト目でヴィオルを睨みつけ


「ところで……早く行かなくていいのか?彼女は貴方に会うと言っていたが……」


「あぁ!?そうだった!?私も早く行かなきゃだった!!?」


ヴィオルはそう言うと、飛行魔法で飛んで急いで魔法省に向かって行った。そんなヴィオルの姿を見たヴァン王子は、やれやれと言わんばかりに溜息をついた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます