123.近状説明報告2

うん。とりあえず専属の件は置いておこう。頭が痛くなりそうだし……とりあえず、もう一つ気になることを聞いてみましょう。


「お父様。エリザベス・マグダエル公爵令嬢はその後どうなったのですか?」


私がそう尋ねたら、お父様は神妙な顔をして溜息を一つ吐き


「実は、そのエリザベス公爵令嬢だが……かつて初代国王であったアイリーン様達を苦しめたとされる災厄に身体を乗っ取られていた事が分かった」


お父様の言葉にお母様は驚いていたが、私と、何故かアリーも驚かなかった。


「それで……そのエリザベス公爵令嬢だが……10歳以降の記憶が朧げにしか覚えていないらしく、おまけに、魔力数値も大幅に減少しているそうだ。数日経過してるはずなのに、以前計測した魔力数値よりかなり低くなっているらしい」


お父様の言葉にみんな驚いている。それもそのはずで、魔力数値は使えば確かに減るが、1日経てば元の数値に戻る。故に、1日経って魔力数値が回復せずに減った状態なのはあり得ない。

けれど、私は別に驚かなかった。何故ならこの事も女神アイリーン様から事前に聞いていたのだ。



私はふと気になってアイリーン様に尋ねたのだ。


「そう言えば何故ソレはエリザベス公爵令嬢に取り憑いたんですか?」


そう尋ねたら、アイリーン様は若干困ったような表情を浮かべた。


「実は……その原因はあなたがアンナ・ステインローズに転生した事が1番理由です」


えっ!?私が原因!?どういう事!!?


アイリーン様の説明によると、アリーのあの力は発動条件があって、あの日あの時にアンナ・ステインローズがアリーを刺す事で、アリーに後悔という負の感情を出させる事で発動出来る仕組みになっていたらしい。

しかし、アンナ・ステインローズの身体に私が転生した事により、ソレがアンナ・ステインローズの身体に取り憑けなくなってしまった。

故に、ソレは新たな器を求めて彷徨ったが、ソレは「私」の魂と完全に結びついていた為、新たに器もアリーを憎む心を持った人物でなければいけなかった。

しばらくの間、ずっと器を求めて彷徨っていたソレだったが、ついに条件に合う器を見つけてしまった。それが、アリーにカイン王子をとられた事でアリーを疎んでいたエリザベス公爵令嬢だった。


「しかも、厄介だったのが……エリザベス公爵令嬢は、アンナ・ステインローズとは違って、高い魔力を持っていた。それがソレの力を高めてしまった……」


アイリーン様の更なる説明によると、新たな器となったエリザベス公爵令嬢は高い魔力数値に魔力を持っていた為、ソレがアリーに使わせていた時属性の魔法まで行使出来るようになってしまったらしい。

どうやら、アリーへの嫌がらせも時属性の魔法で時を止めて行ったらしい。どうりでキョウカ達にも目撃されないはずだわ……

だけど、この魔法は使うには、魔力数値を削る必要があった。1日経っても回復しない程の減少を……まぁ、アイリーン様曰く、私が使う場合は力が安定している為、そのような削り行為にはならないらしいが……

その証拠として、アリーも後に魔力数値を計測したら、計測不能だった数値が数値化された。ただ、その数値も現在ウィンドガル王国で(私を除いて)1番高い数値だったりするのだが……これはもしかするとソレが「私」に劣等感を植え付ける為に、わざとそれだけ高い数値を残せるように調整したのかもしれない。



と、まぁそんな風に聞いていたので私にそれに関する驚きはなかったのだが……


「それで……だ……エリザベス公爵令嬢は自ら国外追放の処分を受けたいと申し出たそうだ」


えっ!?自ら国外追放を!?流石の私もこれには驚いた。


「本当は彼女は死罪を訴えていたがな……」


「えっ!?いや……それはちょっと流石に……」


確かに私は殺さそうになったけど未遂だし、何より「私」が原因でもあるから、彼女を恨む事なんて出来なかった。


「私個人としては色々言いたい事があるが、流石に死罪は重すぎるという話になってな。結局、国外追放処分という形におさまった」


お父様は溜息をついてそう答えてくれた。まぁ、魔法の力をほぼ無くした状態の彼女が、身一つで国外追放になるのは、死罪並にキツい事かもしれないなぁ〜……


そして、当然ながらマグダエル公爵家は取り潰しになり、三大公爵家の穴埋めとして、アスカルド侯爵家が、公爵家の地位を賜ったそうだ。

それで、空いた五大侯爵家の地位を誰がなるかで、現宰相のマウロー伯爵と、ステインローズ伯爵家、つまりうちの2つがあがったが……


「今回はバカ息子が騒動を起こしてしまったようで……バカ息子をしっかり教育出来なかった私にその地位は相応しくない」


と、マウロー伯爵は辞退。そして、お父様も……


「地位を上げるなんて色々面倒な事を押し付けられるだけだから、今の地位で十分だ」


と、こちらもアッサリと辞退した。


で、結果エロインスキー伯爵が侯爵の地位を賜った。

後に知ったが、このエロインスキー家の子息は、よくアリーにエロい発言しては、私の魔力弾で吹っ飛ばされるあの男の家らしい……そんな家の人間が五大侯爵になって本当にこの国は大丈夫なのか、少し心配になったのは言うまでもない。


で、エリザベス元公爵令嬢は、数週間の魔法省による精密検査を行った後、もう大丈夫と判断され、すぐに国外退去をした。

一応、彼女とも話す機会に恵まれるのだけれど、それはまたの機会で話すとしよう……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます