121.目覚め
私はお姉様と口づけをした後、急に自分のやった事に色々な感情が押し寄せ、私は貴族令嬢にあるまじき猛ダッシュで部屋を出て、寮の出入り口の扉を開けて中庭まで来た。
「ハァ……!?ハァ……,!?私はなんて事を……」
寝込みのお姉様を襲うような事をした自分自身への後悔の念と、お姉様の柔らかな唇の感触を思い出し、身体中の血液が沸騰しそうだった。
これは、一回冷まさないといけないと思い、私はその場に座り込む。と言っても、それで冷静になれるかは分からないけれど……
「……ごめんなさい……お姉様……」
私は思わずそう呟いた。こんな私がお姉様のような素晴らしい人を本気で愛してしまってごめんなさい……けれど……私は……私のこの気持ちは……もう……
と、そんな時だった。
「もうすぐ、あなたのお姉様は帰ってくるよ」
「えっ?」
そんな声が聞こえてきた。しかし、今は夜という事もあって周りには誰もいない。
けれど、私は……再び貴族令嬢にはあるまじき猛ダッシュでお姉様の元へと向かった。何故かはよく分からないけれど、あの声は自分の半身のような……そんな感じがして、あの声の言葉は信用出来ると思った……
目を覚ましたら、そこは見慣れた私の寮の部屋の天井。うん。良かった。どうやら無事に戻ってきたみたいだわ。
けど、あれからどれくらいの時間が経ったのかしら?私からしたら半日も満たないような時間だったけれど、ここでは何日も経っていたとかあり得そうだし……すると……
「お姉様ッ!!!」
私の寮の部屋をバァンと音をたて入ってきたのはアリーだった。普段アリーはこんな事しないのだけれど……それだけ心配されてたって事?まさか……相当日数が経って一年ぐらい経ってるとか?
「あの……アリー……あれから何日……」
「お姉様ッ!!!」
アリーは私に飛びつくように抱きつくと、涙を流してずっと私を抱きしめていた。
う〜ん……あれから何日経ったのか知りたかったんだけれど……まぁ、いいか……泣いてる妹を慰めるのは姉の特権だものね!
「大丈夫よ。アリー。約束したでしょ。あなたは私が守るって。だから、ちゃんと帰ってきたわよ」
私はそう言って、泣きじゃくるアリーの頭を優しく撫でた。
私は、アリーが泣き止むまでずっと、アリーを抱きしめたまま、アリーの髪を撫で続けた。
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